台湾在住27年の片倉佳史氏が今年出版した『台湾のトリセツ 地図で読み解く初耳秘話』(昭文社刊)がものすごく面白い。
本書はまったく新しいタイプのガイドブック。片倉氏撮影の写真や古写真、地図や図・年表をふんだんに配置したオールカラー版だ。
(1)台湾の自然と地形、(2)台湾の鉄道、(3)台湾の歴史、(4)台湾の建築と産業、(5)台湾の文化景観、(6)離島の文化――の6つのパートに分かれている。各パートごとに見開き2ページのエピソードがいくつか紹介されているのだが、このセレクションが一般的な台湾ガイドブックとは一味も二味も違っている。
パート1の「台湾の自然と地形」では、台湾を形づくる河川や山などの基礎的な紹介のほか、渡り鳥や珍しい蝶について取り上げている。パート2の「台湾の鉄道」では日本人ファンも多い台湾の鉄道の紹介のほかに、日本統治時代に浮上した幻の台北市内電車敷設計画など初めて聞く話。パート3「台湾の歴史」では片倉氏が造詣の深い日本統治時代を中心に戦後から現代に続く激動の時代を紹介、パート4「台湾の建築と産業」のトップバッターを飾るのは台湾のランドマークともいえる台北101で、その現代建築の美とテクノロジーを解剖する。また、「世界に羽ばたく台湾企業」の一覧を付して、世界で活躍する台湾が誇る工業についてまとめたエピソードは、ビジネスマンや若者に便利だろう。パート5「台湾の文化景観」では台湾の多様な民族文化を現地取材による躍動感あふれる文章で紹介している。最終章であるパート6「離島の文化」では旅行で人気の澎湖島、金門島、馬祖島、蘭嶼島に加え、知られざる軍事要所の東沙島を取り上げている。
およそ人生の半分近くを台湾で暮らし、台湾を歩き、台湾を食べ、台湾を取材し、台湾を体感してきた片倉氏ならではの視点で書かれた多様な台湾が、この1冊にぎゅっとつまっている。そして随所にキーワード的に登場する台湾の美食紹介は、読んでいるだけでワクワクする。
コンパクトなのに奥の深い内容の本書は、初めて台湾に行く人からリピーター、修学旅行生、駐在者まで誰もが楽しめるだろう。クリスマスプレゼントとして誰かに贈ってもいいし、正月休みに一読して疑似台湾旅行を経験するのもお勧めだ。
読み終わった後、あなただけの台湾訪問のテーマが見つかっているに違いない。
片倉佳史著『台湾のトリセツ 地図で読み解く初耳秘話』(昭文社刊、税込1760円)
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