日本政策研究所より転載
11月初め、民主党の山岡国対委員長が今開かれている臨時国会に永住外国人に地方参政権を付与する法案を議員立法で提出すると表明した。それに対して、外国人参政権法案反対の声が一気にあがり、結局は臨時国会での上程は見送られた。しかし、小沢幹事長は「やるならば原則として政府提案でやった方がいいと思っている」(11月10日)、「やります。(議員提案ではなく)政府が提案した方がいい」(11月12日)と発言。来年の通常国会への法案提出の可能性はむしろ高まっていると言える。
言うまでもなく、参政権は「国民固有の権利」であり、外国人に地方参政権を付与することは憲法違反であるという根本原則が確認されねばならない。だが、それとともに、この参政権問題の焦点は、いまや「中国人問題」へとシフトしてきているという認識を持つ必要がある。
この参政権問題は従来、在日韓国人(「在日」)をめぐる問題とされてきた。むろん、それについても引き続き対応を怠ってはならないが、と同時に、「在日」が大半を占める特別永住者は減り続ける一方、中国人一般永住者は毎年1万人以上増えており、いまや14万人を超えているという状況がある(平成20年末現在)。民主党案は、その中国人一般永住者にも地方選挙権を与えるものであり、これは国家の安全保障やわれわれの生活基盤を脅かす事態にもなりかねない。
例えば、沖縄の与那国島である。与那国島は日本最西端の領土で、台湾にも近い国境の島だ。中国から見れば、台湾の後背に位置するため、台湾への武力侵攻の際には軍事的に極めて重要な位置にある島と言われる。いまや中国海軍は、東シナ海で毎月のように演習を行っており、本来であれば、わが国は与那国島をはじめ南西諸島のポイントとなる島に自衛隊を置いて、抑止力を強化しなければならない。この与那国島で自衛隊誘致問題が起こり、今年8月に行われた与那国町長選挙は、自衛隊誘致を主張する現職町長と「平和な島に自衛隊は不要」という候補の二人が立候補し、自衛隊誘致を巡って一騎打ちとなった。結果は、現職町長が当選したものの、票数はわずか103票差しかなかった。
要するに、あと100票ちょっとあれば、自衛隊誘致反対派が町長になったということであり、そうなれば、仮に自衛隊が与那国島に隊員を配置しようとしても大変な抵抗に遭うこととなるだろう。言い換えれば、もし14万人を超える中国人一般永住者のなかから、わずか100人余りの中国人が与那国島に転居しさえすれば、中国は別に軍事力を行使せずとも、日本の国防体制を左右できることもできる、そういう事態になりかねないということだ。
こうした危機は、本土から遠く離れた離島だけで起こっているのではない。例えば、最近、中国資本による日本の森林買収がたびたび話題になっている。狙いは、われわれの生活に欠かせない水である。都市住民が大多数を占めるようになった現在、水は蛇口から出てくるものと思っている人が多いが、水は森林なくしてはできない。つまり、森林は水源を涵養する死活的に重要なわれわれの生活基盤であるが、その水源の村が狙われているのだ。 →※水田・森林・海―いま、日本の基盤が中国に侵食されている
これまでに公表された情報によると、森林買収の対象となったのはいずれも山間部の小さな自治体で、なかには長野県天龍村のような有権者数1600人の地域もある。これは数でいえば与那国島と同様、中国人一般永住者が何百人か転居することによって、水源の村が中国人の影響下に置かれる恐れがあるということである。
外国人地方参政権問題の影響は、決して「在日」が集住する都市だけに及ぶのではない。外国人など無関係と考えられている町や村でも深刻な問題が起こり得る。あなたの町、あなたの村、あなたの生活の問題としても、真剣に考えていただきたい。