【地図帳問題】日本の媚中教科書に対する台湾・馮寄台大使の批判とその限界―毎日新聞は台湾の味方か敵か

日本の媚中教科書に対する台湾・馮寄台大使の批判とその限界―毎日新聞は台湾の味方か敵か

ブログ「台湾は日本の生命線!」より。ブログでは関連写真も↓
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1380.html

目下、我々日本李登輝友の会が文部科学省に対して強く要求していることがある。それは教科書検定において、「台湾は中国の一部」という中国の台湾併呑正当化の虚構宣伝を、中学校社会科教科書(地図帳)に反映させるのを止めろということだ。

「教科書問題」といえば、誰もが歴史歪曲教科書の問題と思うが、実はこのような「知られざる教科書問題」もあるのである。

実際に現物を見てほしい。地図帳教科書に描かれる台湾は中華人民共和国の領土になっているはずだ。嘘を書いてはならない教科書に、ここまで大胆な嘘を記述するのは背信行為というより犯罪行為。なぜこのようなことが行われるのか。

教科書会社に「訂正しろ」と要請しても、「それでは検定に通らなくなる」との答えが返ってくる。つまり嘘の記述防止のために行われる文科省の検定が嘘を記述させているのだ。

しかし文科省は、意地でもこれを改めない。もし改めるなら、これまで中国の宣伝に加担し、日本の子供たちを洗脳してきた犯罪的行為を認めることになるからだ。

ただ文科省にとって幸いなのは、国民のほとんどがこの犯罪的行為に気がついていないことだ。何しろ国民の多くはこうした教科書で育ってきたのだ。「台湾は中国の一部」と聞かされても、何の疑問も抱くことができない。

マスコミも産経新聞を除いては、これほどの犯罪的行為を取り上げない。それは興味がないというより、中国の怒りを買うのが怖いからだと思う。

ところがそこで立ち上がったのが台湾の馮寄台駐日代表(駐日大使)だ。

毎日新聞(十二月二十三日)への「教科書の台湾表記に危惧」と題する寄稿で、「日本の中学校の社会科教科書の中には、台湾を『中華人民共和国(中国)の一部』として扱ったり、教科書の地図上で台湾を中国の国境線の中に含め台湾と中国が同じ色に塗られたりしているものがある」と指摘した。

また各種統計やテーマ別の地図でも、台湾を中国の一部として含めていると指摘し、「これらは中国で発行された統計資料や図版をそのまま転載していることに起因していると思う」と述べたが、まったくそのとおりである。

毎日新聞も、これをよくぞ掲載してくれた。だが国民はこの問題提起の重大さをどこまで認識したのだろう。

これに反応を示したのは中国メディアだ。新華社などは「台湾の駐日代表が日本メディアで“台湾は中国の一部ではない”と謬言」などとの報道を行っている。

しかし馮寄台氏は台湾を「中国の一部ではない」とは言ってはいない。言っているのは「中華人民共和国の一部ではない。中華民国の統治下にある」というものであろう。

これが現実である。そしてこの現実を絶対に認めようとしないのが中国であり、それに気兼ねする文科省なのだ。

だが馮寄台氏の主張にも限界がある。それは次のような主張がそれだ。

「日本に植民地統治されてきた台湾は第二次世界大戦後、中国大陸を統治していた中華民国政府に返還された。しかし、間もなく共産党との内戦に敗れた蒋介石政権は1949年に台湾へと撤退、そして、大陸に中華人民共和国が成立した」

日本が一九四五年の敗戦で、台湾を中国(当時は中華民国)に「返還」して以来、台湾は中華民国の領土だということだ。

しかしこれが出鱈目なのだ。日本は一九五二年、サンフランシスコ講和条約に基づいて台湾を放棄したが、それをどこにも割譲した事実はないのである。

中華民国は終戦直後、連合軍総司令部の命令により、軍隊を台湾に進駐させているが、その際に勝手に台湾領有を宣言してしまった。そしてこの政権は国共内戦で敗北するや、台湾へ亡命し、そのまま今日までこの島に居座り続けているというのが事実である。

一方中華人民共和国も、日本は台湾を中華民国に返還したとの宣伝を行っている。ただこちらは国共内戦で中華民国は滅亡しており、台湾の領有権は自分たちが継承しているとの「立場」をとり、「中国統一」を建国以来の国家目標に掲げているわけだ。

だから馮寄台氏は触れていないが、日本の社会科教科書の中には、「一九四五年、台湾を中国に返還」と記述するものもあるのである。

このように中華民国(国民党)も中華人民共和国も、「台湾は中国の一部」であることでは一致している。そしてこの虚構に基づいて国民党の敗北主義は、台湾を中華人民共和国に献上しかねない状況だ。

だから馮寄台氏が「台湾は中国の一部ではない」との「謬言」を吐いても、中国メディアは大騒ぎをしているわけではない。

「一つの中国」を認める現在の国民党政権は、宥和(利益誘導)の対象ではあっても、罵声を浴びせる相手ではないのだ。

台湾住民の意思が問われることもなく、台湾の島が中国へと売り飛ばされかねない事態であり、そしてもしそうなれば日本も独立自体が脅かされることとなるというのに、文科省はそれでもなお、「台湾は中国の一部」だと日本の子供たちに教え続けるのだろうか。

なお馮寄台氏は約一年前の講演でも「日本は台湾を返還した」などと述べ、やはり毎日新聞はわざわざそれを報道していた。この新聞社は、果たして台湾の味方なのか敵なのか。

このように台湾(国民党)の側からも、「一つの中国」の謀略宣伝が日本のメディアを通じて行われていることにも厳重なる注意が必要だ。


投稿日

カテゴリー:

投稿者: