台湾独立建国聯盟 顧問 小林 正成
1978年10月に、中国のトウ小平が来日しました。
ちょうどその頃、宗像さんとの共通の知人、「台湾監獄島」の著者である柯旗化さんも 来日していました。この方は、1929年台湾生まれ、台湾師範学院 英語科卒業。 1951年、思想犯として逮捕。翌年、緑島(監獄島)へ強制労働と思想感化訓練に送られました。1961年、再逮捕。翌年12年の判決。1973年、刑期満了後さらに緑島へ強制労働と思想感化訓練に送られます。その間、1960年に「新英文法」を著し、ベストセラーとなり、30年以上も経った当時もなおミリオンセラーの記録を更新し続けて、台湾で第一出版社を経営していた方です。
彼が日本の下町風情を好む方だと言うので、宗像さんと共に浅草を案内しました。その折り、訪日中のトウ小平が、尖閣は複雑な問題が絡んでいるので、後の指導者が知恵を出し合って平和友好的に解決してくれる事を期待し、棚上げしましょう。と発言したのです。時の宰相福田初め、日本のマスコミは、トウ小平の善意と受け取り、高い評価をしていました。
この新聞報道を目にした柯旗化さんは「尖閣諸島は、米国の沖縄返還の時・沖縄付随島嶼として、日本に返還されたもので中国と領有権問題が起きるのは、おかしな話しである。今まさに日中友好が声高に叫ばれ政財界、マスコミも北京へ北京へと草木が靡いている。この現象は、中国が日本の資本技術を飲み込んで、力を付けたら核も、ミサイルも日本に向けられる。尖閣はおろか沖縄も盗りに来る。その日は必ず来る。こんな事を想定している日本人はいないのかなぁー…。」
支那人の【早い者勝ち、強い者勝ち、狡いもの勝ち】の三原則を知っていた私もこの話しを耳にし、まさか、そこまでは…。と思っていました。しかし、38年前に柯旗化さんが予見した事が、今まさに現実のものとなってしまった事に驚きと共に感慨深いものを感じて居ります。
柯旗化さんは数年前に他界されましたが、彼が健在で、尖閣問題の今日の状況を見たならば、”尖閣諸島が日本国の固有の領土である事は、間違いのない事実。しかし、中国を刺激してはマズイとの思惑から、目に見える実効支配をせず、無人島のまま棚晒しにしていることが問題である。泥棒猫の鼻先に、秋刀魚をブラ下げ(これは私の物だから盗ってはダメ)と言っている様なもの。獲物を探している泥棒猫に冒険心、射幸心を呼び覚まさせる所業。これは日本の罪である。恐らく、こんな忠告をしてくれるのではないかと、私は思うのです。
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