台湾の声編集部/台北2013.3.4
3月3日(日曜)の晩、台北の「国家音楽ホール」で、
大河ドラマ『利家とまつ』の音楽を担当した渡辺俊幸氏
が指揮する音楽会が開かれた。
会場には、李登輝元総統の曽文恵夫人、蔡英文・前民進
党総統候補らが姿を見せた。企画したのは、民進党の李
応元立法委員と鄭麗君立法委員。
この音楽会の名前は「祈盼」〔祈り〕。228事件
紀念の音楽会だというが、そのことは前面に出ていない。
2000名の聴衆は、台湾派の人々。228デモで見か
けた人々も来ている。年齢層は高め。
ところが、普通の台湾派の集会とは違って、中国語で司
会が行われ、そのため会場の盛り上がりもいまいちだっ
た。たとえば、司会者が登場した直後、期待したところ
で拍手が来なかったので、司会者が焦った場面も見られ
た。
映画音楽や、『利家とまつ』の音楽、そして音楽に合わ
せてアニメを操作するという作品、台湾の4つの歌をま
とめた交響曲。渡辺氏による解説。アンコールの一曲の
後、「みんなで歌いましょう」と「望春風」を歌うとい
うプログラム。音楽会としては、素晴らしいものだった。
しかし、挨拶が終わらないうちに席を立つ人も多かった。
一つには、台湾の人々が、映画のスタッフロードが始ま
ると席を立つ人がまだ多いという、お国柄もある。ただ、
編集子がこの記事を書こうと思ったきっかけとなったの
は、ある台湾人参加者のつぶやきだ:「音楽は素晴らし
い。台湾の音楽もある。でも228と関係ない。正義が
行われていないのに、平和を唱えるのは、台湾人を麻痺
させるだけだ」。彼はそうして会場を後にした。
確かに、228であるならば、蕭泰然氏の曲が一曲も選
ばれなかったのは、奇異である。その彼を追いかけて、
質問をぶつけてみた:「228の色彩が薄められたのは、
李応元議員たちの考えだと思いますか?」。彼はこう答
えた:「李応元議員本人にはそんなつもりはなかったと
思うが、228事件や白色テロについて、あまり知らな
い、彼のスタッフたちの認識が反映されているのだろう。
台湾人が国民党の思うがままに操られているのだ」。
「祈盼」音楽会について:
http://www.ntch.edu.tw/program/show/2c9081373bc98886013c0505754705f0?lang=zh