台湾の声編集部 多田恵
2013.5.11
4月30日ごろ、本誌編集長林建良に関するウィキペディ
ア(Wikipedia)の解説に「父親は日本人」という嘘の説
明が付け加えられた。これは事実ではない。本来ならば、
コメントする必要すらないことであるが、林氏の父親は台
湾人である。この虚偽記載は本誌編集部によって本日削除
された。
ウィキペディアは、インターネット上で閲覧できる百科事
典で、「誰でも編集できるフリー百科事典」であると謳っ
ている。先の編集を行ったのは、「Logos1800」という登
録名の利用者である。しかし、この利用者はすでにこの登
録を破棄している。嘘の情報を散布するための一時的な登
録であったと見られる。
ちょうど、4月の中旬ごろ、台湾で、ある騒動があった。
4月8日、「“李登輝は日本人の私生児”」という見出し
が台湾の新聞やニュース画面に出たのだ。メディアによっ
ては、「“李登輝の実父は日本人”」と表現を改めて見出
しにした。もちろん引用符がついている。
台湾当局の監察院が公開した調査報告の中に、元外交官で
現在、世新大学非常勤助教を務める戚嘉林(せき・かりん)
へのインタビュー内容が掲載されていて、その中に、「彼
(李登輝氏)はおそらく日本人の私生児といって間違いな
い」という部分があったことが騒動のきっかけとなった。
その根拠は、「彼(李登輝氏)が晩年に書いた、『武士道
解題』などにおける、日本への思いは、他に見られない」
ことだというから、あきれたものである。
ニュースは、監察院がこの報告書のネット上での公開を中
止したことを伝えたものである。なお、4月11日に、問
題部分を削除したバージョンがあらためて公開された。
さらに許せないことに、監察院院長の王建煊が、9日、
監察委員がこのような調査報告を出したことについて、
「まるで大砲で小鳥を撃つようなことだが、間違ってはい
ない。その鳥が良くなかったら、撃たなきゃならないでし
ょ?」とコメントし、何の根拠もなく、李登輝氏を「悪い」
と決め付けた。
監察院は、台湾当局が使用している憲法では五権分立の一
を成し、やりたい放題である。問題の調査を行ったのは監
察委員の周陽山(湖南省)と李炳南。いずれも中国国民党
の一派で、李登輝氏のリードによる国民党の台湾化に対抗
して結成された「外省人政党」新党所属の政治家である。
院長は王建煊。中国安徽省出身。新党所属。クリスチャ
ンであると標榜している。就業時間中に、監察院の講堂で
友人のための結婚式を執り行った公私混同問題などでも有
名であるが、調査を乱発しているという批判がある。また、
2010年1月には、「我々漢人が来てから、我々は頭がよく、
人数が多かったので、今、原住民がマイノリティー階層に
なった」と、台湾原住民を侮辱した。ちなみに馬英九は
2007年末、「私はあなたがた原住民を人として扱っている」
と、シナ人の差別意識を顕にしている。
インタビューを受けた戚嘉林は、湖北省にアイデンティ
ティーを持つ「外省人」。
この問題の裏には、台湾における中国人と台湾人の対立が
あるのだ。
上で紹介したように、在台シナ人は、自民族のみが優秀で
あり、他の民族は人ではない、という中華意識を持ってい
る。さらに、人権や国家の機構が公のものだという認識が
欠如しているのである。だから228事件がおきたのだ。
だから、陳水扁前大統領が廃人同然にされてしまったので
ある。
この監察院の報告について、李登輝氏の事務所は、「ばか
ばかしくて、コメントの必要すらない」とし、李登輝元大
統領は、「彼らは、彼らの目的があって、さらに多くのこ
とさえしようとしているが、私は怒ることをしない。報告
書はおかしいが、反論しても、このようなことが繰り返さ
れるだろう。私にとって大切なことではない。神様が、彼
らの罪を赦し、彼らが反省する機会を与えてくださいます
ように」とコメントしている。これは、クリスチャンであ
るという王建煊への皮肉にもなっている。
また、台湾を代表する映画監督の呉念真氏は、監察院につ
いて、「海辺の太陽(海灘上的陽光)」であるとコメント
した。サン・オブ・ア・ビーチ。つまり出自を問題にする
英語の罵り言葉をもじったコメントである。
台湾派の人々のフェースブックなどでのつぶやきには、
「うちのお父さんも日本人だぞ。台湾の歴史を知らないの
か?」という反響も、多数あった。
本誌編集長への中傷が、どのような人物によるものか不明
であるが、父系の血統を異様に重視するシナ人的な思考を
持った者によるものであることは間違いない。
ちなみに、中国では最近、反日ドラマがあまりにも非現実
的で、漫画チックであると批判されていたが、その製作者
によると、当初日本軍の優れた点も描こうとしたところ、
当局によって、脚本が削除された経験から、史実に忠実に
描くことに興味が無くなり、日本の漫画などを参考にして
ドラマを制作したという。
シナ人の潜在意識の中には「日本人は優れている」という
意識があるといえる。日本人の素晴らしさが、シナ人のプ
ライドを脅かしている。だから、シナ人の同胞が、日本が
シナよりも素晴らしいことを気づかないようにするために、
懸命に反日工作を行うのである。
シナ人がいま台湾で違法に得ている、もしくは、台湾に関
して得ようとしている権利の根拠を崩そうとする、李登輝
元総統、および、林建良編集長が、日本人の血統であると、
彼らが言いたがる心理には、このようなコンプレックスが
ある。