台湾団結聯盟が昨日記者会見を開き、「中国人権法案」を今国会の会期内に提出すると発表した。
これは世界初の快挙であり、中国の横暴に対抗する攻めの手段でもある。この法案を是非通過させてほしい。
「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
以下は法案の趣旨と条文の日本語訳
法律案
提出の趣旨:台湾団結聯盟立法院立法委員団は、国連の「世界人権宣言」の精神と「市民的及び政治的権利に関する国際規約」、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」及び「欧州人権条約」などが各締結国に積極的に人権と自由の遵守を積極的に実現・促進するように求め、人々に政治及び経済社会文化的権利において自由と保障を享受できるよう期しているなか、ただ、中国、北朝鮮などの国々が、「世界人権宣言」、「国際人権規約」及び「欧州人権条約」の規定を無視し、自国民にのみならず、外国に対しても、民主、自由及び人権などの普遍的価値に違反する作為を押し付けているが、これは防止せられるべきであり、更に近年以来、中国は国内においていわゆる異議分子を迫害しているにとどまらず、「反国家分裂法」と「国家安全法」などを公布し、我が国が行っている民主自由の制度及び人権保障制度に対し、大きな圧力を加えている。
ここに、我々は米日両国の「北朝鮮人権法」の立法の精神を参考にし、国際人権規範を順守し、基本的人権の保障政策を実現し、並びに中国内部人権状況を改善し、中国の民主化を促進して、普遍的価値に符合する民主自由及び人権の文明国家となるように期して、「中国人権法草案」を起草した。これが相当であるか否か審議されたい。
中国人権法草案概説
1948年に国連で採択された「世界人権宣言」(Universal Declaration of Human Rights)は次のように謳っている。
「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であり、人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権保護することが肝要である」。
1945年の国連憲章(United Nations Charter)と「世界人権宣言」を規範として、国連総会で採択され、1976年に発効した「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(International Covenant on Civil and Political Rights)と「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」(International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights)[以下、両規約]は、締約国に対し、人権及び自由の義務に関する義務を積極的に定着させ、促進し、遵守するよう求め、人々が政治、経済、社会、文化的権利の自由と保障を得られることを期待している。
そしてこれにあわせ、我が国では2009年、「市民的及び政治的権利に関する国際規約施行法」と「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約施行法」[以下、両規約施行法]が可決、公布された。
欧州各国はまた、1953年に発効の「ヨーロッパ人権条約」にも調印し、「実効的な政治的民主主義」という伝統的な公民の自由の保障を強化した。このように人権と自由の保障は20世紀以来、全世界が公認し、そして追求、実践して来た普遍的価値であり、潮流である。
しかしながら、世界では今なお、中国、北朝鮮などの国が国連の「世界人権宣言」や「両規約」そして「ヨーロッパ人権条約」などの精神、規範を無視し、自国内の人民に政治的な迫害を加えるとともに、外国に対して民主、自由、人権などの普遍的価値に反する横暴な振る舞いを見せており、これらへの抑止が必要となっている。
特に近年、中国は国内で民主、自由、人権擁護の運動家(人権派弁護士、ライター、民主運動家、ジャーナリスト)、独立、自治を求める少数民族の運動家(チベット民族、ウイグル民族)、信教の自由を求める人々(法輪功、仏教徒、回教徒)、そして司法の独立を求める人々や、その他の自由、人権を求める反体制派に対して政治的迫害を加えている。
そればかりか、2005年には「反国家分裂法」を制定し、武力による統一達成を排除しないことを明確に表明し、また2015年には「国家安全法」を制定し、台湾を一方的に中国の一部分と位置付け、国家主権を護り統一することが台湾人を含む全中国人の義務などと規定するなど、我が国の民主、自由制度及び人権保障制度に対し、強大な圧力を行使している。
現在世界で、他国を対象にする人権法を制定し、または制定を目指しているのが米国、日本、韓国という三つの国である。米国の「北朝鮮人権法」は内容が完全なものであり、日本の「北朝鮮人権侵害対処法」は拉致問題に重点を置いている。韓国の「北朝鮮人権法草案」はまだ可決される前の段階である。そうした中、我が国には、中国の「反国家分裂法」と「国家安全法」による強圧の下、速やかに「中国人権法」を制定することによって対抗することが求められている。
そこで本党の議員団は、米日両国の「北朝鮮人権法」の立法精神を参考にして「中国人権法草案」を作り、国際人権規範の遵守や、基本的人権の保障政策の推進、定着に役立てるとともに、中国内部の人権状況を改善し、民主化を促し、彼の国が民主、自由、人権といった普遍的価値に符合する文明国家に変わることを期待するものである。
本草案は全11カ条からなっている。条文の要点は以下の通り。
一、中国人権法(草案名称)
二、立法目的(草案第1条)
三、定義(草案第2条)
四、主管機関(草案第3条)
五、中国人権委員会(草案第4条)
六、主管機関職掌(草案第5条)
七、政治的迫害被害者声援救助保護弁法[規則](草案第6条)
八、中国人権状況調査弁法[規則](草案第7条)
九、政治的迫害者に対する処置、及び調査報告の公布(草案第8条)
十、中国人権状況報告書、及び立法院への報告(草案第9条)
十一、施行細則の制定(草案第10条)
十二、施行期日(草案第11条)