【レポート】台湾2・28時局講演会−馬英九が目論む2・28事件の風化!

【レポート】台湾2・28時局講演会−馬英九が目論む2・28事件の風化!

台湾の声編集部 2013.3.16

2月24日日曜日の午後、東京のアルカディア市ヶ谷(私学
会館)で、「台湾2・28時局講演会−馬英九が目論む2・
28事件の風化!」が行われた。主催は、台湾独立建国聯
盟日本本部。

黙祷の後、王明理委員長が、チベット人の焼身自殺につ
いても触れながら、今回の趣旨を説明した。また司会(
柚原正敬・日本李登輝友の会事務局長)が大江康弘・参
議院議員(現在自民党と合同会派)からの電報を紹介し
た。

基調講演を行った蕭錦文氏は、日本軍に志願して、出征
先で目にした植民地の状況と、日本統治下の台湾を比べ、
台湾の教育の充実に感謝の気持ちを持ったと語った。

≪228事件に関連して、日本との戦争に勝ったのは米国で
あって中国ではないのに、また台湾を制圧したわけでも
ない国民党政府が、連合国軍の指令により台湾を占領し、
日本統治時代より、もっともっと悪辣な厳しい政治を行っ
た。陳儀が、228事件処理委員会を騙して、他方で援軍を
呼び、その援軍が上陸と同時に、路上にいた台湾人を殺戮
した。

自分は、義父が逮捕される前に逃げたため、その代わりに
逮捕され、タオルを顔の上にかけて、上から水を流し、失
神させるという「水かけ刑」という拷問を受け、最後には
死刑場に行くトラックに乗せられたが、228事件処理に関
して現地調査に台湾にやってきた白崇禧国防部長の指示で
殺されずに済んだ。拷問を受けているときに「ビルマ戦線
で華々しく散ってしまえば、こんな惨めな目に遭わずに済
んだのに」という思いが巡った。≫

蕭氏はまた、228事件は、文化の低い民族が文化の高い民
族を支配するという矛盾がもたらしたと説明。さらに、今
の国民党の「ひどい」政治、陳水扁前大統領が監禁されて
いる理由について、「国民党は台湾人に政権を渡したこと
が悔しかった」からその仕返しだと分析。日本に対して、
先の戦争はアジアに貢献した。「戦争についての日本の教
育を変えてほしい」とし、自虐史観ではなく、正しい歴史
観を持つように求めた。

引き続いて行われた「中国の覇権主義にどう立ち向かうか」
と題したパネルディスカッションは、黄文雄・前委員長の
司会のもとで、ペマ・ギャルポ氏(チベット文化研究所名
誉所長)、イリハム・マハムティ氏(日本ウイグル協会会
長)、オルホノド・ダイチン氏(モンゴル自由連盟党幹事
長)も加わって行われた。

イリハム氏は、228事件と東トルキスタンのウイグル人が経
験したことの共通点について、「国民党も中国共産党も、
ある民族を支配しようとするときにその民族の知識人を殺
す」と指摘。また、基調講演で蕭氏が「今の(馬英九)政
権は中国に偏っているものの、まだ中国に渡すにいたって
いない」と分析した点について、台湾でメディアの独占状
態が危惧されている点に言及し、「メディアを封じること
で、圧迫を受けている民族の声が世界に伝わらなくさせる」
と、ウイグル人が経験した中国人の迫害の手法を紹介し、
厳しい見方を示した。

ペマ氏は、チベット人はいまでもたくさんの人々が中国政
府によって政治犯として収容されている。中国は長い間、
多民族国家であると言っていたが、1年前から、ほかの民
族を、「中華民族」の統一の妨害だ、と言うようになって
きた、と紹介。仏教の考えかたからすれば、チベット人に
も半分の責任がある。それは、中国を信用し、協定を結ん
だこと、内部分裂によって侵略を許したこと、独立を放棄
したことだと振り返り、「中国にいかなる正当性も与えて
はならない。連帯を組んで中国と対抗することが必要だ」
と呼びかけた。

また「中華4000年」「中華民族」など存在しない、言語や
歴史を共有しているのが民族なのだ、とNHKの報道姿勢
へ抗議をした。

ダイチン氏は、「チベット人、ウイグル人に起こっている
ことは、モンゴル人にも起こっている」とし、「戦ってい
るときよりも、平和なときにたくさん殺された」と、中国
による侵略・民族抹殺について告発した。また、宗教の自
由があるというのは建前で、実際にはその自由がないとい
う状況を報告した。

質疑応答では、「どの国のパスポートで日本へきているの
か」という質問もあった。中国の支配を受けている、いず
れの民族も、最初に外国へ行く際は、中国パスポートとい
うことになるが、チベット人の場合は、インド発行の難民
パスポートがある。またウイグル人とモンゴル人の場合は、
漢民族ならすぐ取れる中国のパスポートも、ウイグルやモ
ンゴル人の場合は、政治思想についての調査が行われるた
め、パスポートの審査に長い期間がかかり、発給されない
ケースもあるという。

イリハム氏とダイチン氏は、中共のパスポートで出国し、
来日したあと、イリハム氏は日本国籍を取得した。ダイチ
ン氏は、日本政府に難民申請をしているが4年にわたり却下
され、今はパスポートがない状態であるという。

また蕭氏は、台湾の状況について、中国人による教育のせ
いで、お金さえあればOKと考えるようになってしまった、
と憂いた。

閉会挨拶に立った林建良・中央委員は、日本に対し日本版
「台湾関係法」の制定を求め、一日も早くこのような会を
開かないで済むようにしたいと述べ、2月28日を台湾の建国
記念日として祝えるようにしたいと訴えた。

会場では、蕭氏が日本語に翻訳した李筱峰原著『二二八事
件の真相』(日本では日本李登輝友の会が取り扱い)、お
よび林建良著『中国ガン』(並木書店)のサイン会も行わ
れた。

「228事件の風化」の告発については、あまり掘り下げるこ
とが出来なかったが、200名分の席が満席になるこれまでに
ない注目の高さだった。また、当日、蕭氏へのプレゼント
が、車のトランクに入りきらないくらい寄せられた。

また会場には、門脇朝秀・あけぼの会代表、小田村四郎・
日本李登輝友の会会長をはじめとする長老から、吉田康一郎・
元都議会議員をはじめとする若手の姿も見えた。