【解説】「池上彰の学べるニュース」で「中国と台湾」の歴史真実は学べたか

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永山英樹

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テレビ朝日の人気番組「そうだったのか! 池上彰の学べるニュース」の七月二十
八日のテーマは「そうだったのか!中国と台湾」。

「半年以上対立を続けてきた中国と台湾。しかし最近、(経済協力枠組み協定が
結ばれるなど)にわかに友好ムードが。この急速な接近は一体なぜなのか。そし
てその裏にある中国の大きな野心とは」(番組ナレーション)等々を、一からわ
かりやすく解説すると言う内容だ。

そもそも台中の対立は二〇年代からの中国の国民党と共産党の対立の延長だと言
った、多くの日本人が忘れ去った歴史を掘り起こすなど、なかなか有意義な内容
ではあった。

ただ、よく聞いていると、解説には結構荒っぽさも目立った。

たとえば番組は、国共対立の経緯を語る中で「一九三七年に起きた日中戦争によ
って、中国大陸で争っていた国民党と共産党が手を組み、日本に対抗します」と
言っていたが、歴史を正確に見れば、日中戦争より国共合作の方が先である。

だから正確には「国共両党は手を組み、一九三七年に日本を日中戦争へと引きず
り込みます」とするべきだったろう。

そしてもう一つ、ここで触れなければならないのが、日本が一九七二年、中国を
承認して台湾と断交したことに関する解説だ。

それによると当時日本は日中共同声明で「中華人民共和国を中国の唯一の合法ほ
政権であると承認する」とする一方、「台湾は中華人民共和国の一部であること
を日本は十分に理解し、尊重する」と表明したと言う。

そして、なぜ日本を「理解し尊重する」と言うに留め、台湾を中国の一部と認め
なかったかについて池上彰氏は、こう説明した。

―――台湾との友好関係を維持したい、外交関係は切っても民間レベルは続いて
いる。(だから)このような微妙な言い方になっていると言うことだろう。

この池上氏の「分析」は正しいとは言えない。なぜなら日本はあのとき、台湾と
の「友好関係」があろうがなかろうが、同じように表明したはずだからだ。

これに関してはまず、日中共同声明のくだりを正確に見てみよう。

「三、中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であ
ることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分
理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する」

このように日本が理解し尊重するとしたのは、あくまでも中国の「立場」に対し
てであって、「台湾は中華人民共和国の一部であること」に対してではない。

それはともかく、日本側がこうした表現を採用した理由に関しては、当時の大平
正芳外相が次のように説明している(七二年十二月六日の講演)。

―――中国は台湾を俺の領土の一部だと言っている。日本はこれを理解し尊重す
ると言っており、それを承認するとは書いていないわけだ。

―――なぜなら台湾等はご承知のようにサンフランシスコ平和条約(※日本と連
合国間の講和条約)で放棄したところである。したがって連合国が集まって、ど
こに帰属するかを決めなければならない性質のものであるが、そういう面倒なこ
とを引き受けてやってやろう言うものはどこにもなく、日本が放棄したままにな
っている。

―――そう言う状態のときに「日本が捨てたこの領土権は誰々の物でございます
」と言うことは、日本人は舌が切れても言えない立場にある。

これを簡単に言えば、「講和条約で台湾は日本によって放棄されたが、その新た
な帰属先は決められなかった。よって今になって中国から“中国の一部”と承認
せよと求められても、台湾はもはや自国の領土でもなく、勝手に中国のものと認
定する権限など日本にはない」となるだろう。

さらに簡単に言うなら、「中国の領土ではない台湾を、日本が“中国の一部”な
どと承認できない」となるだろう。

そしてこのことを池上氏は説明するべきだっただろう。

なぜ私がこのことを強調するかと言えば、番組が中国に配慮し、台湾を「中国の
一部」として扱うことを懸念していたからだ。

こうした日本のメディアによる事実捏造は従来しばしば見られてきた。しかしそ
れでは中国の対日洗脳工作への加担となってしまうのである。

だから私に限らず、台湾に関心を寄せ、日本を憂える大勢の人々は、まさに「固
唾を呑んで」この番組を見ていたに違いない。

幸い番組は、一度も「中国の一部だ」とは言わなかった。しかし「中国の一部で
はない」とも言わなかった。それを言ってしまえば、中国から激しい抗議を受け
ることとなるからか。

番組を見た視聴者は、「台湾は中国の一部ではない」と言うことを理解したかど
うかが気になるところだ。

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