(設楽隆一裁判長)の第1回口頭弁論が行われた。
控訴した小田村四郎・本会会長ら台湾のパイワン族37名を含む原告42名の訴訟代理人
(弁護団)を代表して高池勝彦弁護士は、控訴の理由について約20分にわたって述べた。
高池弁護士はまず控訴理由について以下のように説明した。
「被控訴人(NHK)には、政治的に公平で、事実に即し、意見が対立している問題につ
いては、できるだけ多くの角度から論点を明らかにし、良い放送番組によって文化水準の
向上に寄与するものであり、我が国の過去の優れた文化の保存並びに新たな文化の育成及
び普及に役立つような番組を制作放送する義務(本件義務)がある。ところが本件番組は
いずれの条項にも違反している。一方的ないわゆる「やらせ」取材をし、虚偽の事実を捏
造し、極めて悪質で偏向したものである。のみならず、その内容の多くは、事実に反して
いる。そのため、被控訴人は、多くの台湾人出演者の本件番組に対する抗議と訂正を求め
る行為に対して、被控訴人の製作スタッフや広報スタッフなどを動員し、それらを隠蔽し
ようとして台湾人に働きかけた」
その上で、一審の東京地裁判決(原判決)が「事実判断を誤り、法律の解釈を誤ってい
る」として、高許月妹さんや陳清福さんに関する原判決の事実判断の誤りなどを指摘した。
東京高裁は、すでに被控訴人(NHK)から控訴人が提出した「控訴理由書」に対する
反論の「答弁書」が出ていること、それに対して控訴人側が反論書を準備する意向を表明
していること、さらに控訴人側が高許月妹、檜山幸夫、濱崎憲一の3人を「人証」とする
「証拠申出書」を提出していることから、口頭弁論の続行を宣した。
高裁での弁論続行は異例のことだという。一審の原判決が被告NHKの意見を丸呑みす
るような内容だっただけに、高裁も慎重になっているということかもしれない。
第2回の口頭弁論は下記の日程で開かれる。
◆日 時:平成25年5月30日(木) 15時30分〜
◆場 所:東京高等裁判所(地方裁判所と同じ)101大法廷