その人の名は、志賀哲太郎(しが・てつたろう)。熊本出身の偉大な教育者です。
志賀は、慶応元年(1865 )肥後国上益城郡田原村(現上益城郡益城町田原で誕生)。幼少期よりその俊英ぶりを発揮し、長じて明治法律学校で法律を学びました。24歳で帰郷した志賀は、九州日日新聞(熊本日日新聞の前身)の記者として活躍する傍ら、紫溟学会会員、国権党員として、佐々友房や古荘嘉門、安達謙蔵ら(彼らは後に国会議員となり、大臣や県知事等を務めた)と全国的な政治運動を展開するなど、時代の先端を走るような活動をしました。
しかし、当時の政界の醜悪さに疑問を持つようになった志賀は、次第に政界を離れて教育の道に志すようになり、31 歳で、日清戦争後、我が国に割譲されたばかりの台湾に渡り、一介の代用教員として異郷の地の教育の発展に半生を捧げました。志賀は、幅広い学問と政治活動等の経験を活かし、後に台湾の繁栄の礎を築くこととなる 1,000 余人 の人材を育て、また、大甲の街の人々の意識向上 にも大きな影響を与えました。
志賀哲太郎のすばらしさは、台湾教育史に残る赫々たる教育的成果のみにあるのではなく、「大甲の聖人」と呼ばれるほどの、その人間性にあります。知れば知るほど、公平無私で慈愛に満ちたその崇高な生き方は、今を生きる私達にも深い感動をもたらし、同郷人としての誇りと勇気を与えてくれます。
この機会に、多くの皆様に、熊本が生んだ稀代の教育者、志賀哲太郎について学んで頂ければ幸いです。
令和元年8月吉日
志賀哲太郎顕彰会 会長 宮本睦士
【著者・増田隆策氏のプロフィール 】昭和27(1952)年熊本市生まれ、島根大学卒。昭和 50(1975)年熊本県警察に入り、主に生活安全(防犯)畑を歩む。平成 8(1996)年警察学校教官時代に神風連や西南戦争における警察活動に興味を持ち研究を行う。退職後は、警察史の講師として警察職員の指導に当たるほか、郷土の歴史や偉人の調査研究に努めている。主な著書及び編著書に、「史実を探る神風党の変」、「西南戦争と警察」、「響ヶ原の戦い」、「薩摩街道紀行」、「山都の守り135 年」、「志賀哲太郎資料集」などがある。
—————————————————————————————–「台湾大甲の聖人志賀哲太郎とその時代」出版記念講演会
・日 時:令和元年9月29日(日)10 時から12時まで
・場 所:熊本市中央公民館 6F 大会議室
熊本市中央区草場町51 白川公園南端 駐車場は2 時間まで無料 https://www.shirakawa-chuo-cc.com/
内 容:講演「志賀哲太郎の人生」 植山洋一氏(志賀哲太郎顕彰会副会長) 講演「志賀哲太郎とその 時代」増田隆策氏(郷土史研究家・文筆家)
参加費:500 円/人 資料代
主 催:志賀哲太郎顕彰会(会長:宮本睦士)
事務局:益城町木山 55620 植山方
※参加者全員に「台湾大甲の聖人 志賀哲太郎とその時代」と関係資料を差し上げます。
【お問合せ先】講演会担当:折田 090 8399 4854