台湾初の漆の工芸学校を開いた山中公(やまなか・ただす)だ。
去る7月6日から8月11日まで、台湾・台中文化創意園区(旧台中酒工場)において、日本
統治時代から100年近くにわたる台湾の漆工芸の歩みを振り返る特別展「世紀の蓬莱塗」が
開かれ、その模様を7月8日付の「中央通信社」は次のように伝えていた。
≪この特別展は、文化部文化資産局と国立台湾工芸研究発展センターが共同で主催したも
ので、日本統治時代の1916(大正5)年に台湾で最初の漆の工芸学校を開き、「台湾の漆工
芸の父」とよばれる香川県出身の山中公(ただす)氏、山中氏の弟子だった陳火慶氏、東
京美術学校(現東京芸術大学)で学位を取得している頼高山氏、2010年に「人間国宝」に
指定された王清霜氏の作品など200点以上が展示されている。
6日に行われた開幕式典には、山中氏の娘・美子(みつこ)さんも招かれ、特別展の終了
後、父の作品など162点をすべて台湾側に寄贈すると発表した。
山中公氏と台湾の教え子が作った「蓬莱塗」は、台湾の庶民生活にスポットを当てるこ
とや、日本で基調となる赤と黒以外の色も多く使われることなどが特徴。≫
その山中公氏を物語の軸として、美しい漆器をまつわる日本と台湾の漆芸家たちの交流
も描いていく番組をBSフジが放送する。8月31日、お見逃しなく。
◆わが心の“蓬莱の島”〜ある漆芸家 100年目の真実
放送局:BSフジ
放送日時:2013年8月31日(土)14:00〜14:55
『わが心の“蓬莱の島”〜ある漆芸家 100年目の真実〜』
http://www.bsfuji.tv/top/pub/hourai_shima.html
現在、台湾の漆芸は非常に発達しているが、その礎を築いたのは実はある日本人、山中
公氏であることはあまり知られていない。日本占領時代に、山中氏が台中で最初の漆芸学
校を開き、漆芸を教えていた。今、台湾のすべての漆芸家が彼の弟子あるいは孫弟子にあ
たる。教育者山中公の努力と、100年間生徒たちそれぞれの切磋琢磨で、台湾の漆芸がどん
どん発展し、繁栄している。
ある偶然で山中公氏の子孫が見つかり、彼の作品が台湾の博物館で永久保存されること
になった。今年7月に、山中公氏の高齢な娘が台湾に赴き、作品を贈呈する。
昨今、豊原にある台湾唯一の漆芸博物館も大きく拡大される運びとなった。日本人山中
公が台湾漆芸のために心血を注いで撒いた種が、100年後に確実に花開いたのだ。
番組では、山中公の子息、生徒、関係者、豊原博物館や作品が最終的に保存される台湾
工藝芸術研究発展センターなどを訪ね、山中公の物語を軸として、美しい漆器をまつわる
日本と台湾の三代にわたる漆芸家たちの交流も描いていく。