10月22日〜30日、東京国際映画祭で「台湾映画特集」、11作品が上映

李登輝前総統も絶賛したドキュメンタリー『無米楽』も上映

【台湾週報Web版 2005年 第39週号より】

 アジア最大の国際映画祭として知られ、今年18回目を迎える「東京国際映画祭(TIF
F)」が、10月22日から30日まで、六本木ヒルズ(港区) 、Bunkamura (渋谷区)をメイ
ン会場に開催される。開催に先立ち、9月20日に記者会見が行われ、映画祭の上映プログ
ラムが発表された。
 本映画祭は「コンペティション」部門、「特別招待作品」部門、アジア各国の話題作を
集めた「アジアの風」部門や「日本映画・ある視点」部門などからなっており、今年はコ
ンペ部門に15本、特別招待作品に22本、日本映画・ある視点部門に11本、アジアの風には
台湾映画11本、その他のアジア諸国作品26本が上映される。
 今年はとくに、「アジアの風」部門において“台湾:電影ルネッサンス”と題した台湾
映画の特集が組まれているのが大きな特色だ。劇映画、ドキュメンタリー、アニメなど合
わせて11作品という、同映画祭では過去最多の台湾映画が一挙にスクリーンに登場する。
今年のベルリン映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞した蔡明亮監督の『浮気雲』(天邊一朶
雲)をはじめ、台湾のベテラン女優・楊貴媚が台湾金馬賞の主演女優賞を受賞した『月光
の下、我思う(月光下我記得)』ほか、最近の話題作(上映作ラインナップは下記参照)
が目白押しで、映画ファン、台湾ファンはもちろん、初めて台湾映画に触れる人にも絶好
の機会だ。
 台湾は最近、映画産業の振興に力を入れており、政府の助成や各種政策により優れた映
画制作の土壌作りを積極的におこなっている。この日の記者会見でも、台湾映画の特集が
「台湾の今と未来に注目!」というコピーで紹介され、主催者側が「姚文智・新聞局長の
積極的な映画産業姿勢とあいまって、台湾映画は今活気づいている。台湾映画のナマの姿
を多角的に紹介したい」とコメントし、台湾映画の新たな潮流への期待を強調した。
 記者会見には、第18回東京国際映画祭チェアマンの角川歴彦氏をはじめ、豊田正和・経
済産業省商務情報政策局局長、寺脇研・文化庁文化部長のほか、スペシャルゲストには今
映画祭で審査委員を務める女優の桃井かおりさん、作家の鈴木光司さんら著名人も出席し
た。また同映画祭の開催に合わせ、10月26日〜28日まで映像作品のビジネスマーケット「
アジア・パセフィック・エンタティメント・マーケット」が開催され、各種映像作品の出
展や商談が行われるほか、10月28日にはロケ撮影環境整備への取り組みや映画の国際共同
制作などについて討論する「ロケーションマーケット」、さらに都内各地では特別上映イ
ベントやコラボレーションイベントなど、映画祭を盛り上げるさまざまな関連企画も予定
されている。
 アジアにおける映画振興のメッカとも言える東京国際映画祭。この大きな舞台で、新た
な台湾映画の魅力が世界に発信され、ますます注目されることを期待したい!
                               《2005年9月21日》

“台湾:電影ルネッサンス” 上映作品一覧

1、『浮気雲』 (天邊一朶雲、THE WAYWARD CLOUD)
 Color / 35mm / 108min / 2004
 監督:蔡明亮(TSAI Ming-Liang)
 出演: 呉佩倩舞極舞蹈團、 李康生、陳湘[王+其]、夜桜すもも ほか
●スイカの汁にすがるほどの水不足に見舞われた台湾。その街角で再会した男女の孤独と
 愛を、蔡監督独特の斬新な手法で映し出した作品。

2、『月光の下、我思う』 (月光下我記得、THE MOON ALSO RISES)
 Color / 35mm / 113min / 2004
 監督:林正盛(LIN Cheng-Sheng )
 出演: 楊貴媚、施易男、林家宇
●台東の田舎町に咲く母の封印された恋と娘の恋。李昂の原作を『台北ソリチュード』の
 林正盛が映画化。

3、『恋人』 (戀人、FALLING IN LOVE)
 Color / 35mm / 104min / 2005
 監督:王明台(WANG Ming-Tai ) 
 出演: 萬芳、藍正龍、李康宜、徐貴櫻
●苦しいまでに恋する男女。男の初恋の女性が現れる・・・。『流星花園 花より男子』の藍
 正龍初主演映画。

4、『深海』 (深海、BLUE CHA CHA)
 Color / 35mm / _min / 2005
 監督:鄭文堂(CHENG Wen-Tang )
 出演:ターシー・スー、レオン・ダイ
●刑期を終えたユーは、身を寄せた海辺の町で二人の男と出会う。『時の流れの中で』の
 鄭文堂監督最新作。

5、『台湾黒電影』 (台灣!)電影、TAIWAN BLACK MOVIES)
 ドキュメンタリー作品
 監督:侯季然(HOU Chi-Jan)
 出演:朱延平、楊恵珊
●700年代末から台湾に吹き荒れた黒電影(任侠映画)ブームの真相に、若手監督が迫る。

6、『チョコレート・ラップ』 (巧克力重擊、CHOCOLATE RAP)
 Color / 35mm / _min / 2005
 監督:李啓源(LEE Chi-Yuarn )
 出演: 陳信宏、!)雅妍、黄柏青、唐振剛
●台湾映画初のヒップポップ・ムービー。ボビー・チェン(陳昇)のスコアに載せてブレ
 イク・ダンスする若者たち。

7、『飛び魚を待ちながら』 (等待飛魚、FISHING LUCK)
 監督:曾文珍(TSENG Wen-Chen )
 出演:王宏恩、リンダほか
●蘭嶼島を訪れた都会のOLが、地元の青年と出会い人生の転機に立つ。『春天:許金玉的
 故事』の曾監督映画デビュー作。

8、『靴に恋する人魚』 (人魚朵朵、THE SHOE FAIRY)
 Color / 35mm / _ min / 2005
 監督:李芸嬋(LEE Yun-Chan )
 出演: ビビアン・スー(徐若瑄),Duncan(周群達)
●金馬賞短編部門グランプリを受賞した李芸嬋監督のファンタジー溢れるデビュー作。ア
 ンディ・ラウプロデュースの香港映画。

9、『非婚という名の家』 (無偶之家、往事之城、SCARS ON MEMORY)
 Color / DV / _min / ドキュメンタリー / 2005
 監督:陳俊志(Mickey CHEN )
●『美麗少年』で台湾ゲイ・シネマの旗手になったミッキー・チェン監督が、中年になった
 ゲイを題材に生命を考察する。

10、『ファイヤーボール』 (紅孩兒:決戰火焰山、FIRE BALL)
 Color / 35mm / 100min / アニメーション / 2004
 監督:王童(WANG Toon )
 声の出演:陳昭栄ほか
●『村と爆弾』の巨匠・王童監督が初めて手がけたアニメ映画。有名な孫悟空の物語をア
 ニメ化した作品。

11、『無米楽』 (無米樂、LET IT BE)
 Color / DV / 108min / ドキュメンタリー / 2005
 監督:顏蘭權/莊益!)
●稲作に励む3人の老農民の姿を通し、人生の真実と哲学を問う作品。ドキュメンタリー
 ながら劇場公開され大ヒットした。

上映スケジュールなどについては下記のWEBをご覧ください。

第18回東京国際映画祭( 18th Tokyo International Film Festival )
2005年10月22日−10月30日 http://www.tiff-jp.net

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●台湾週報 http://www.roc-taiwan.or.jp/news/week