NHKが日本李登輝友の会からの「公開討論会の開催と登壇の要請」を拒絶

4月24日、日本李登輝友の会の小田村四郎会長は5人の副会長(石井公一郎、岡崎久彦、
加瀬英明、中西輝政、田久保忠衛)との連名で、NHKの福地茂雄会長に「公開討論会の
開催と登壇の要請」を行った。

 回答期限の本日、これに対する「回答」が届いた。回答者は福地会長ではなく、前回の
回答と同じくエグゼクティブ・プロデューサーの河野伸洋氏。回答は「偏っても間違って
もいないのだから公開討論会の必要はない」という予想通りの内容だった。

 ずいぶん強気の回答内容だが、だったら、なぜ多方面から非難が起こってくるのか。そ
れに対しての反省は微塵もない。下記に回答前文をご紹介したい。     (編集部)


日本李登輝友の会
会長 小田村四郎様

 貴日本李登輝友の会から日本放送協会会長宛に送られた「公開討論会の開催と登壇の要
請」について、会長に代わって当該番組の責任者として小職が回答させていただきます。

 まず、先日14日付けで貴日本李登輝友の会にお送りした回答について、「自己弁護に
汲々とした不誠実な内容」とされていることをきわめて残念に思います。「日本が一方的
に台湾人を弾圧したとするような史観」で番組を制作していないということを、あらため
て申し上げます。

 番組では、日本が植民地時代に、台湾において鉄道や港湾などの社会的基盤を整えたこ
と、樟脳産業が活性化したことなどを取り上げています。後藤新平につきましても、台湾
統治の成果をあげたことを事実を積み上げて紹介しています。

 柯徳三さんについては、その人生に日本統治の二面性が反映されていることを描いてい
ます。ひとつは、同化政策によって、日本人と同じ小学校に通い、中学校に進学すること
が可能になったことです。またその後、台北帝国大学医学部に進学したことも伝えていま
す。一方で、同化政策の後も、台湾人子弟の入学者が制限され、社会的差別があったとい
う面も、事実にそって伝えています。

 柯さんをはじめ台湾の方々を取材したインタビューは長時間におよびますが、「台湾人
の証言を都合よく操作」していることはなく、番組はそれぞれの方への取材内容を正確に
反映していると考えます。

 番組の反響の中には、台湾の方々の証言に感銘を受け、日本と台湾との絆を考える契機
になったというものも少なくありません。前回4月9日付けの抗議声明の中に「差別もあっ
た。この差別について、特に台湾の日本語世代は日本人の前ではあまり語りたがらない一
面がある」とありましたが、こうした面を率直に語ってもらうことが、歴史の事実を共有
し、日本と台湾の絆をさらに深めるきっかけの一つになるのではないでしょうか。もちろ
ん、台湾が親日的であるという事実は多くの日本人が認識していることであり、この番組
でも伝えています。

 また、番組全体にわたる事実関係や使用している用語については、国内や海外で数多く
の研究者を取材し、確認を重ねています。「事実を歪曲した」とは考えていません。

 今回の文書には、「当該番組を検証する公開討論会の開催を要請する」とありますが、
私たちは番組内容が偏向していたり、事実関係に間違いがあるとは考えていません。その
ため「番組を検証する」必要はないと判断しており、「公開討論会」の要請には応じかね
ます。

 なお、事実関係などについてご質問があれば、今後も誠意をもって回答する所存です。

 以上、なにとぞご理解よろしくお願いいたします。

 平成21年4月28日

                日本放送協会 ジャパンプロジェクト
                    エグゼクティブ・プロデューサー 河野伸洋



投稿日

カテゴリー:

投稿者: