NHK「JAPANデビュー」問題で「証言者」の柯徳三氏が怒りのコメント

『母国は日本 祖国は台湾』の桜の花出版のホームページにもコメント

 NHK「JAPANデビュー」問題では多くの方より「怒りの声」をいただいている。
本誌でもかなりの数をご紹介しているが、この番組を擁護したり支持したりする投稿は一
つもない。

 NHKの「回答」には「視聴者からも、事実を初めて知り、そのことを踏まえて関係を
築いていくことの大切さを記した意見が多数寄せられました」とあるが、不思議なことだ。

 実はNHKの関係者によると、この「多数」とは20件くらいだという。それも「この数
字は伏せて下さい」と口止めされたという。

 確かに、領台当初から終戦まで、日本がいかに台湾人を差別し弾圧したか、日本の極悪
非道ぶりを延々と描けば、不安に駆られる人も出てくる。しかし、この番組は台湾の日本
統治時代の全体像を描いていない。光と影の「影」を強調したに過ぎない内容だから、多
くの人は偏向しているという印象を抱いたのである。

 それも、「親日的とも言われる台湾に、今も残る日本統治の深い傷」があるのだとして、
これまで親日的と言われた台湾の日本語世代を証言者に仕立て、日本時代に受けた差別な
どについて「台湾においては一等国民は内地人で、二等国民が琉球だ。三番目が台湾人だ」
「もう嫌だな、嫌だ。差別、馬鹿にしよって」「あの二十何年間の教育というのは、実に
恐ろしいね。頭が全部ブレーンウォッシュ(洗脳)されているからね」などの発言を差し
挟み、いかにも信憑性があるかのような手の込んだ巧妙な作り方なのだ。

 これでは、台湾についてあまり知らない日本人にとっては、彼らが日本語を話すことも
「深い傷」だと思ったことだろう。

 ところが、これらの「証人」の中でも、「頭が全部ブレーンウォッシュ(洗脳)されて
いるからね」などと証言していた目玉証人でもある柯徳三氏が「週刊新潮」(4月16日発
売)で「確かに差別も受けたが日本は台湾に多くのものを遺してくれた、ということ。…
…私が一番伝えたい部分でした。だが、そうした発言は悉くカットされた」と、不本意な
意中を吐露しているのだ。

 柯氏はまた「NHKがこんな番組を作った背景には、日台の関係を引き裂こうとする中
共の意向があるのではないか」と、中国とNHKによる日台離間の陰謀説さえ述べている
ほどだ。

 さらに、驚いたことに、『母国は日本 祖国は台湾』という日本語の著書もある柯氏は、
版元である桜の花出版のホームページにもコメントを寄せていた。そこに「(NHKには)
八田與一のことや、後藤新平のことなどもいろいろ話したのに、そこを全部カットした。
同窓会の改まった席で誰かが火ぶたを切って不満を話した部分だけが放映され、あたかも
あそこにいた人全員が反日的であるかのように宣伝された。……なぜNHKは私が話した
プラスの面を一つも流さなかったのか。……あそこに出た皆が怒っているのは、日本が、
養子にした台湾を終戦後にポンと捨てて蒋介石にやってしまったことです」と、NHKに
対する憤懣をつづっているのである。

 NHKの取材内容がどのようなものだったのか、これから徐々に明らかになっていくだ
ろうが、少なくとも取材された柯徳三氏自身はNHKに対して明らかな不信感を抱いてい
る。柯徳三氏のコメントにこそ「真実」があるのは、誰の目にも明らかだろう。

 桜の花出版に寄せた柯徳三氏のコメントの全文を下記にご紹介したい。   (編集部)


NHKスペシャル シリーズJAPANデビューに対する柯徳三氏(出演者)のコメント

■桜の花出版
 http://sakuranohana.jp/nhk20090415.html

 2009年4月5日、午後9時から放送されたNHKスペシャルのシリーズJAPANデビュ
ー「第1回 アジアの”一等国”」に、『母国は日本 祖国は台湾』の著者である柯徳三
氏が登場されました。

 NHKでは一方的に台湾が反日的であるかのような発言ばかりが放送されましたが、こ
れについて柯徳三氏ご本人からコメントを頂きましたので、ご紹介致します。

「(NHKには)八田與一(注1参照)のことや、後藤新平(注2参照)のことなどもいろ
いろ話したのに、そこを全部カットした。同窓会の改まった席で誰かが火ぶたを切って不
満を話した部分だけが放映され、あたかもあそこにいた人全員が反日的であるかのように
宣伝された。(自分の発言について)弁解がましいことを言う気はないが、なぜNHKは
私が話したプラスの面を一つも流さなかったのか。あの番組を見て私のところに電話をか
けてきた人にはそう言った。私の本(『母国は日本 祖国は台湾』小社刊)の240ページ
以降を読んでもらえれば私の真意は分かってもらえると思う。私は反日でも親日でもなく、
知日派だと思っています。

 あくまでも日本は私のお母さんで、育ててくれた恩義を感じています。あそこに出た皆
が怒っているのは、日本が、養子にした台湾を終戦後にポンと捨てて蒋介石にやってしま
ったことです。それに対して、日本からはすまなかったの一言もない。(極論すれば、)
恨み言の根底は戦後の日本の態度であって、領台時代の差別とかいうことではないので
す。」

 NHKの放送は意図的に偏った形で放送されたものであることを多くの方に知って頂き
たいと思います。小社では、『母国は日本 祖国は台湾』の内容を多くの人に知って頂く
ため、インターネットから内容の一部を無料で閲覧できるように致しました。一人でも多
くの方に、ご紹介ください。

 柯徳三氏からは小社に対して「NHKのむこうをはって、アジアでの日本の活躍を、良
い面悪い面両方を書いたらいいよ」という言葉を頂いたことも付け加えておきます。

注1)八田與一…日本統治時代に台湾の農業水利事業に貢献した事で知られる技術者。台
   湾ではその業績が高く評価されている。
注2)後藤新平…台湾総督府民政長官として台湾の経済改革とインフラ建設に力を尽く
   し、成果を挙げた。



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