台湾同郷会理事)が、「太陽花学運(ひまわり学生運動)」の立法院占拠に関し、NHK台北支局
長の巻田直紀氏が「TPPやRCEPといった貿易自由化への道すじにも影響が及ぶ可能性があ
る」というコメントに対し、疑義を呈し、具体的に反論している。
馬英九総統は3月23日、サービス貿易協定について国際記者会見を開いた。そこで、下記のよう
に述べている。
≪さらに問題なのは、サービス貿易協議は『両岸経済協力枠組み協議』(ECFA)の一部分であ
ることだ。同協議が可決されなかった場合、台湾の国際的な信用、両岸関係および貿易自由化の努
力を著しく損なうことになり、台湾の『環太平洋パートナーシップ協定』(TPP)および『東ア
ジア地域包括的経済連携』(RCEP)参加の機会にも必ず影響を及ぼすことになるであろう。台
湾の国際環境はより一層困難な立場となると共に孤立するであろう。≫(台湾週報)
日本のマスメディアの中にも、この馬英九氏の発言を取り上げて同調する記事を書いたところも
あったが、NHKの巻田支局長の発言は馬英九発言の受け売りそのもの。
多田氏の反論は「NHKは馬英九と心中するつもり?」と題してメルマガ「台湾の声」に掲載さ
れたが、本誌では改題してご紹介したい。多田氏の鋭い反論に、恐らくNHKは答えられまい。
NHKは馬英九と心中するつもり?
【メルマガ「台湾の声」:2014年4月11日】
10日にNHK・BS1で放送された「国際報道2014」の特集「台湾議会占拠解除へ 学生たち
は」を文字化したものが公開された。
http://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2014/04/0410.html
この中で、NHK台北支局長・巻田直紀氏が、馬政権の立場に立った報道をしており、日本を代
表する放送局の情報収集能力に疑問が持たれる。
たとえば、巻田氏の次のレポートである:
「協定自体は台湾にもメリットがあり、経済界もおおむね支持しています。協定を発効できなけれ
ば、中国との経済連携が傷つくだけでなく、台湾が加入を目指すTPPやRCEPといった貿易自
由化への道すじにも影響が及ぶ可能性があります。」
協定のメリットだけが説明されていて、デメリットの説明がない、ということは協定に反対する
立場の声として番組中で紹介があった。
問題は、「TPPやRCEPといった貿易自由化への道すじにも影響が及ぶ可能性がある」とい
うコメントである。
これについて米国は、何日も前に「台湾のTPP参加を歓迎する」(自由時報4月5日)、そして
10日にも「協定の問題と台湾のTPP参加は関係がない」と表明しているのである。
10日、台湾における米国の事務を取り扱うAITの広報官が「今回のヒマワリ運動とTPPに関
わるとは見られない」と発言し、また、中国時報が11日に明らかにしたところでは、中国は「協定
は交渉可能」という立場をリークした。これらは、馬政権の「協定を通さないと国際的な信用を失
う」という立場を否定するものである。
つまり、協定が通らなくて困るのは馬英九だけなのだ。郭台銘が王金平に近い立場で動き回った
ことを見れば、中国が態度を変えることは想像できたはずだが、NHK台北支局は、根拠なく馬英
九の保身のためのことばを、自らの見方として垂れ流した。
番組が放映されたのは10日の夜であるから、少なくとも、台湾のTPP参加への米国の歓迎や、
AITの発言はフォローすることは出来たのではないか。巻田支局長は、馬と一緒に心中させられ
ないよう、くれぐれも気をつけたほうがいい。
国から特権を与えられているNHKがこんなレベルでいいのか疑問である。
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