文部科学省は昭和61年(1986年)から隔年で、高校生の海外修学旅行先や外国からの教育旅行の
受け入れ状況について調査し、「高等学校等における国際交流等の状況について」を発表してきて
いる。
6月13日、今回で15回目になる平成27年度(2015年度)の調査結果を発表した。この調査による
と、旅行先の上位は以下のようになっている。台湾へは3万5,775人(232校)で、アメリカへの3万
8,453人(281校)に次いで2位に躍り出た。
・1位:アメリカ (3万8,453人、281校)
・2位:台湾 (3万5,775人、232校)
・3位:シンガポール (2万3,034人、167校)
・4位:オーストラリア(2万485人、154校)
・5位:マレーシア (1万3,945人、99校)
平成25年度(2013年度)の調査結果では、台湾は、アメリカ(3万5,168人、260校、)、シンガ
ポール(2万3,571人、167校)に次ぐ3位の2万829人、140校だったから、生徒数で1万5,000人、学
校数も90校以上を増やす大躍進だ。4位はマレーシアで2万614人、 132校、5位がオーストラリアの
1万9,755人、149 校。
2015年度の増減をみると、アメリカが9.3%増、シンガポールの2.2%減、マレーシアも32.3%
減、オーストラリアが3.7%増。それに比べ、台湾だけ72%増で大幅に増えていることがわかる。
また、さかのぼること約10年前の2004年度、台湾へ修学旅行に行く日本の高校生は1,108人しか
いなかった。それが徐々に3,622人(2006年度)、8,024人(2008年度)、12,762人(2011年度)と
増え、2013年度は2万人を超え、2015年度は3万人を突破してほぼアメリカと肩を並べるところまで
来た。隔世の感とは、まさにこのことだろう。
すでに公益財団法人全国修学旅行研究協会が本年1月17日に公表した「平成27年度全国公私立高
等学校海外(国内)修学旅行・海外研修実施状況調査報告」によると、すでに台湾へは3万6,356人
(224校)で、アメリカへの3万6,170人(249校)を僅差で抜いてトップになっている。
文科省の2015年度発表を仔細に見ると、公立高校では台湾へは2万5,197人(145校)で、アメリ
カへの1万3,079人(104校)をダブルスコアで大きく水を空けている。しかし、私立高校ではアメ
リカへは2万5,242人(175校)で、台湾への1万377人(84校)をダブルスコアで引き離している。
公立高校の修学旅行は都道府県の教育委員会が許認可権を持っていて、海外修学旅行はその費用
と日程の上限を定めているところが多い。この調査結果には、都道府県教委の制限を受けない私立
との違いが現れているようだ。また、校風や修学旅行を担当する教員の考え方によるところも少な
くないかもしれない。
●日本への教育旅行は台湾が第1位
一方、海外から日本へ教育旅行で来る高校生の調査(「学校訪問を伴う外国からの教育旅行の受
入れについて」)を見ると、台湾からが1万2,250人(351校)でダントツの1位。2位は中国の4,002
人(160校)、3位が韓国の3,785人(150校)、4位がオーストラリアの3,143人(197校)、5位はア
メリカの2,164人(187校)となっている。
実は、10年前の2004年度だとトップは韓国からの5,435人、次いでアメリカの2,940人、台湾は3
位の2,484人だった。それが、2006年度は6,667人で2位となり、2008年度は7,320人と増加したもの
の韓国からの8,910人を追い抜けなかった。
しかし、2011年度に台湾からは3,494人で韓国からの3,475人を僅差で追い抜いて1位となる(来
日者数が少ないのは東日本大震災の影響による。全体でも前回調査比で53%の減)。2013年度はつ
いに台湾からは1万人を突破して1万1,382人となり、2位韓国の5,567人を大きく引き離している。
その傾向は2015年度にも顕著に現れ、1万人を超えているのは台湾だけだ。
近年、おれも2012年以降、姉妹都市などの都市間提携でも鉄道提携でも日台間の提携数は急増し
ているが、以上のように、高校生の修学旅行(教育旅行)にもその傾向は顕著に現れている。日本
と台湾の将来をになう高校生たちの交流の機会が増えることは、まことに喜ばしくも嬉しいことだ。
◆平成27年度 高等学校等における国際交流等の状況について[文部科学省]
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/koukousei/1323946.htm