陳水扁総統が読売新聞との単独会見で新憲法制定の決意を表明

中国の台湾向けミサイルは784基になっていることも発表

 台湾の陳水扁総統は3月3日に読売新聞と会見し、新憲法制定に向け改めて強い決意を表
明した。憲法制定は、民間での議論を経て政府案に集約させる方式をとり、憲法の手続き
にのっとって立法院の同意を得た後、住民投票で決定するとした。
 また、国家統一綱領と国家統一委員会は「でたらめな時代のでたらめな産物だ」と指摘
し、「一つの中国」という原則は台湾の主流の民意からかけ離れたものであり、中国と統
一するという目標は設定できないと明言した。
 さらに、中国が台湾に照準を合わせて配備している戦術ミサイルは784基に及ぶことも発
表し、「台湾海峡の現状は中国に一方的に破壊された」と、台中関係を破壊しているのは
中国との認識を示した。

 確かに現在の台湾が憲法としている「中華民国憲法」は、1991年の憲法改正で、主権は
台湾、澎湖、金門、馬祖以外に及ばずと宣言し、法的支配地域ははっきりさせた。しかし
、自国の領土と主張している領域には現在の中国やモンゴル共和国も含まれていて、領土
主権については依然として矛盾が残っている。ここに新憲法制定の必要性がある。

 陳水扁氏は2003年(平成15年)9月28日の第17回民進党大会で、台湾新憲法を制定すると
発言し、さらにその年の10月25日には高雄で行った20万人大集会では、2006年12月10日に
国民投票で新憲法制定を決め、2008年5月20日にそれを施行すると具体的な日程まで打ち出
していた。

 しかし、昨年の立法委員(国会議員に相当)選挙で与党が過半数を取れず、苦しい国会
運営が続いている。台湾で憲法を改正するためには立法院(国会に相当)で4分の3以上
の同意を得なければならないが、陳水扁総統はその手続きを踏むと明言している。そうな
ると、改正は現状ではほとんど不可能といってよい。一縷の望みは2007年12月の立法委員
選挙で大勝することだ。
 
 ただし、そもそも台湾を抜きにして蒋介石が制定した中華民国憲法を、台湾で運用する
こと自体がおかしいのである。また、中華民国憲法を改正するということは、中華民国憲
法に正統性(Legitimacy)を付与することとなり、中華民国体制からの脱却をめざした憲
法改正は、自ら中華民国の占領を追認するというパラドックスを抱えることになるのであ
る。

 これは、占領軍に押し付けられて運用している日本国憲法とよく似た状況であり、日本
も台湾もいったん白紙に戻して、つまりこの憲法を破棄した上で、新しい憲法を制定する
のが最善の道であろう。

 今朝の読売新聞は陳水扁総統との会見の模様を1面と9面で報じている。ここでは1面
の記事を掲載して参考に供したい。

                   メールマガジン「日台共栄」編集長 柚原正敬


台湾、新憲法作り推進−独立路線強める陳総統、本紙と会見
【3月4日付 読売新聞 1面】

 【台北=若山樹一郎】台湾の陳水扁総統(55)は3日、台北市の総統府で、原野喜一郎・
本紙国際部長と会見し、「台湾の現状に合致した新憲法作りを現行(憲法)の手続きにのっ
とって進める」と述べ、新憲法制定作業を推進する決意を示した。中国との統一を目標に
掲げた「国家統一綱領」を事実上廃止するなど、「独立路線」を再び強めている陳総統の
立場の表れであり、中台関係の悪化は必至だ。
 陳総統は新憲法について、「(自身の任期内の)2008年までの新憲法制定は難しいが、
不可能ではない」と強調、07年末の立法委員選挙の結果次第では、任期内の制定も視野に
入るとの考え方を示した。「国名」変更などの事実上の「新国家体制」につながる内容の
有無は明言しなかった。
 陳総統は2000年の就任時、「国家統一綱領」廃止などはしないなどとする「五つのノー」
を公約したが、「『中国に武力行使の意図がない限り』との前提条件があったが、中国の
台湾武力侵攻の意図は見えている」と述べ、前提条件は崩れたとの見方を示した。さらに
、「6年間で中国の台湾向けミサイルは200基から784基に増えた」と中国を批判した。
<会見要旨と関連記事9面>



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