1月14日に台湾の総統選挙と立法委員選挙の投開票が行われた。周知のように総統選の結
果は中国国民党の馬英九候補が689万1139票(51.6%)を得、民主進歩党の蔡英文候補の
609万3578票(45.6%)を上回って当選した。親民党の宋楚瑜候補は予想外に低く、36万
9588票(2.8%)しか得票できなかった。
立法委員選挙の結果は、中国国民党:64議席(−17)、民主進歩党:40議席(+13)、
台湾団結聯盟:3議席(+3)、親民党:3議席(+2)、無党団結連盟:2議席(−1)、無
所属:1議席(0 )
カッコ内に2008年の前回比を示したように、中国国民党は過半数を超えたものの17議席
も議席を失い、逆に民進党は13議席を増やした。また、前回選挙で議席を失った台湾団結
聯盟は比例代表で3議席を得て復活した。ちなみに、無党団結連盟のうちの1議席は高金素
梅議員。
この選挙結果を受け、翌15日、許世楷・前台湾駐日代表が亡くなった黄昭堂主席の代行
をつとめる台湾独立建国聯盟本部は、その結果に対して遺憾の意を表するとともに、「台
湾を正常国家とするため、台湾正名運動および憲法制定運動を推進し、台湾の名義で国連
加盟することを引き続き目標とする」という内容の「声明」を発表した。
また声明は、友好国として「特に、日本およびアメリカの信頼と支持を獲得し、台湾の
国防能力を向上させることで、台湾の安全保障を確保していかなくてはならない」とも謳
っている。
原文は漢文だが、下記にその全文の日本語訳を紹介したい。翻訳は本誌編集部が行った。
2012年1月15日
台湾独立建国聯盟・2012年世界中央委員会「大会声明」
台湾独立建国聯盟 主席代行 許世楷
2012年1月14日、台湾の主体性を堅持する民進党の総統候補は45.6%の得票率を獲得し、4
年前と比較すれば60万票以上を伸ばす結果となった。しかしながら、惜しくも敗れる結果
となったことに対し台湾独立建国聯盟は遺憾の意を表する。
馬英九政権がこれまで推進してきた中国傾斜政策はもはや民意の付託を失ったといえる。
この結果に鑑み、馬政府は中国傾斜政策と一党独裁の状況を放棄し、台湾の人々が持つ各
種の多元的な声に耳を傾けるべきである。
台湾独立建国聯盟は、台湾を正常国家とするため、台湾正名運動および憲法制定運動を
推進し、台湾の名義で国連加盟することを引き続き目標とする。
政治面においては、絶対多数の台湾国民が台湾を主権独立国家と看做している。馬英九
政府は中国との交渉協議の場において、台湾の主権を守ることを原則とすべきである。
経済面においては、台湾はWTOの枠組みの下、「国家と国家」の原則を以て中国との
平等貿易協定を締結すべきである。また、台湾経済が中国市場に全面的に依頼することの
ないよう、その他の地域において台湾の経済貿易事業を発展させていくべきである。
国際社会においては、台湾の国家意識の積極的な推進を継続し、台湾ブランドの展開に
寄与することで友好国の獲得に努力していくべきである。特に、日本およびアメリカの信
頼と支持を獲得し、台湾の国防能力を向上させることで、台湾の安全保障を確保していか
なくてはならない。
台湾独立建国聯盟は今般の選挙結果に対して失望しているものの、台湾の前途に対して
は大きな希望を抱いている。中国国民党に反対する民間勢力や台湾の主権国家概念が引き
続き成長していることは明白であり、台湾独立建国聯盟は今後も全力で台湾独立建国運動
に邁進していく。
(翻訳:本誌編集部)