謝長廷氏の東京講演に600名が参加、「台湾維新」の実現を期す

一昨日、来日中の台湾総統候補の謝長廷・元行政院院長が東京都内で「台湾維新と強
国富民」と題して講演した。主催は日本長昌友之会(代表委員は易錦銓氏・何康夫氏)。

 会場となったアルカディア市ヶ谷には、午後6時の受付開始前から参加者が詰めかけ、
あっという間に定員の500人を超え、主催者側が補助イスを出しても足りずまさに立錐の
余地もないほどだった。恐らく600人ほどにはなっていただろう。会場の後や両側にはテ
レビカメラが13台ほども並ぶ。

 講演会横幕の下には、民進党旗と長昌友之会海外後援会の旗が吊り下げられ、壇上に
は小田村四郎・日本李登輝友の会会長や何漢業・中華航空代表取締役などから贈られた
生花が華やかな彩を添えている。

 謝長廷氏の入場直前、「福爾摩莎頌」(フォルモサ頌)が張瑞銘氏の先導によって歌
われ、雰囲気はいやがうえにも盛り上がってくる。

 謝長廷氏に随行してきた游芳枝夫人や高雄・嘉義両県長、立法委員などが先に入場し
た後、7時を少し回って謝長廷氏が会場に現れるや、盛大な拍手とともに、長昌友之会の
小旗が打ち振られた。

 日本李登輝友の会の柚原正敬・事務局長による司会の下、主催者の易錦銓氏(財団法
人台湾経済研究院顧問)が開会の挨拶。

 続いて、来場していた許世楷・台湾駐日代表処代表や盧千恵夫人、谷川和穂(たにか
わ かずお)元法務大臣、小田村四郎・日本李登輝友の会会長、高野邦彦・大陸問題研
究協会会長、宇都宮鐵彦・日本会議経済人同誌会会長、阿部穆・マスコミ総合研究所所
長、明石元紹・明石元二郎令孫、風間直樹・参議院議員などが司会から紹介される。

 また、金美齢(前総統府国策顧問)と黄文雄(評論家・拓殖大学日本文化研究所客員
教授)の両氏が在日台湾人を代表して壇上で挨拶。

 さらに、謝氏と同行してきた游芳枝夫人や高雄・嘉義両県長、立法委員が司会から紹
介され、続いて、謝長廷氏には着物姿の日本人女性から、游芳枝夫人には台湾人留学生
から、それぞれ花束が贈呈された。

 いよいよ謝長廷氏の講演である。案内では日本語による講演であったが、謝氏は壇上
に上がってから、アクセントもきれいな、流暢といってよいほどの日本語で「台湾語の
方が話しやすいので」と前置きして台湾語で話し始めた。この急な変更に主催者も困惑
したものの、急遽、易錦銓氏が通訳することで事なきを得た。

 講演の内容については、日本李登輝友の会千葉県支部のブログ「千葉発日台共栄」が
詳細を伝えているので、下記に紹介したい。また、毎日新聞の記事も併せて紹介したい。

 講演が終ると、「長昌友之会」の会旗授与式が行われ、謝氏から日本長昌友之会代表
委員の何康夫氏(在日台湾同郷会会長)に渡された。また、その会旗を打ち振って台湾
人留学生の薛格芳さんが謝氏の当選を願って「当選、謝長廷」と日本語と台湾語で掛け
声を掛けて応援、会場全員で唱和した。

 その後、台湾を愛してくださいという内容の「嘸通嫌台湾」を張瑞銘氏の先導によっ
て合唱。

 閉会の挨拶は、最近、僑務委員会諮詢委員に就任された在日台湾同郷会顧問の趙中正
氏。趙氏は3月には台湾に帰ってぜひ投票して欲しいと訴え、盛会裡に終了した。

 なお、当日の模様については、千葉李登輝友の会ブログのほか、下記でもレポートし
ているのでご参照願いたい。                     (編集部)

■台湾は日本の生命線
 http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-253.html
■日本人台湾独立促進会
 http://taidoku.fc2web.com/index.htm


謝長廷氏東京講演「台湾維新」

【12月18日 日本李登輝友の会千葉県支部ブログ「千葉発日台共栄」】
http://blogs.yahoo.co.jp/chibanittai/MYBLOG/yblog.html

 謝長廷氏は前日(16日)来日、京都大学で講演された。

 その後、東京に移動、そして夜にアルカディア市ヶ谷で講演となった。

 品川駅に到着した際の様子は台湾維新を支持する日本人有志の会のブログでアップし
ています。
 http://bbs3.fc2.com/php/e.php/48552/?act=reply&tid=5056896
 (管理人さんのご好意でご紹介させて頂きました)

 さて、アルカディア市ヶ谷の受付に18:30過ぎに到着、そこには「日本は台湾の味方だ」
と書いた横断幕を用意して「当選」を連呼する支持者が既に集まっていた。

 会場に入ると500人以上収容の部屋はもう既に席が殆ど埋まっている状態です。立ち見
も結構居て、600─700人はいたと思われる。

 例年、李登輝友の会の忘年会(日台共栄の夕べ)は300人前後であるのでいかに多く集
まったか。

 謝氏が19:00前に到着された後は先ほどの支持者が謝氏を歓迎する「加油」「当選」「台
湾万歳」などの歓迎のコール。

 李登輝氏や馬氏と違って小柄であるが、スゴイパワーを感じると共に、まじめで誠実
な印象を持った。

 決してパフォーマンスはしないが、政治は理念であり、実績で、パフォーマンスは本
来関係がないという当たり前の事を改めて感じた。

 フォルモサ台湾の合唱の後、日本長昌友之会の易錦栓代表の開会挨拶、来賓挨拶とし
て金美齢氏、黄文雄氏の挨拶が行われたが、その前には、参議院議員の風間直樹氏、元
法務大臣の谷川和穂氏の来場も発表された。

 いよいよ、謝氏の講演です。

 謝氏は現在の台湾を「民主の内戦」であり、「乱局」ではなく「危局」であると表現。
これは国民党と民進党の激突の事をさしているが、そんな中で「台湾維新」を訴えた。
そこには台湾は海洋文化の国であるという事の認識がある。

 海洋文化は「包容力、想像力、融合性」と言う特徴があるという事です。日本も台湾
も海洋文化の同じ軸線上にあり、そこから日台共栄と言う発想となる。

 一方、先日来日した馬氏についても触れられた。

 謝氏によると馬氏は「中国の脅威」については何もふれず、「三不」(不統、不独、不
武)ばかりを唱えていました。つまり、統一も独立もしないという事である。

 台湾は実質的に独立をしていて、不独を唱えるという事は総統候補自ら台湾総統を否
定すると言う矛盾があり、理論破綻をしていると指摘。

 謝氏は台湾総統になる資格があるのは台湾の名前で台湾を世界の中で発展させること
が出来る、台湾を愛している人であり、一つの中国と言う枠組みの中で台湾を考える馬
氏が果たしてそういう資質があるのかと疑問を投げかけた。

 そういう馬氏であるから、2年前のハーバード大学での講演会の時に英語で質問をした
謝氏に対して、「あなたの英語の発音はおかしい」と言う回答であったが、愛する国の
存亡についての真剣な質問に対して「英語の発音」と言う重箱の隅が最初に頭に浮かぶ
ようであった。

 成る程、刺身や寿司を食べるから反日ではないという「言葉の遊び」で本質をずらそ
うとしている馬氏らしいエピソードです。

 謝氏は講演でも「私は台湾総統候補である」と話たが、馬氏は中国に気兼ねしてか、
「台湾の総統」とは一切言わず、最近は「総統ではなくリーダーである」といい始めて
いるという。

 ここまで来るともう漫画です。

 台湾維新をやるには日本人と台湾人の支持がほしいという事をしきりに訴えられた。

 在外台湾人には総統選挙の時には帰国しての投票を、そして日本人には台湾を支持す
るという姿勢をアピールしてほしいとの事です。

 台湾が中国に併呑されたときには日本は大変な脅威をうけることになると警告、こう
いう問題は事が起こってからでは遅く、その為には経済だけでなく、安全保障関係で密
接な関係がある台湾と日本は一致協力をしなければならないと言う考えにたどり着く。

 幸いここ数年は台湾人にとって好感の持てる国の第一位はアメリカにかわって日本と
なってきている。

 台湾人の意識も変わってきている。10年前は台湾人アイデンティティは10%程度、20
00年頃にも3〜40%と過半数を行っていなかったものが、最近では70%を超えるような勢
いである。台湾アイデンティティと親日・知日とはどうやらリンクしているのだろうか?

 謝氏は共生という言葉を使っているが、当然台湾は中国と戦争をする事を望んでいる
わけではない。

 両国とも平和的に発展すべきであるというごく当たり前の考えであるが、民進党政権
後になって中国と台湾の会話が途絶えがちになっているのは、民進党政権そのものとい
うよりも中国の変質があるという。

 中国は1980年代までは経済が脆弱で外貨獲得の為には下手に出なければならなかった
が、経済が発展して以降は高飛車で強圧的な態度になったという。

 これが中国人の本性であるが、そういう時期に民進党がたまたま政権をとっただけで
あると分析。

 こういう話は日本国内でもあまり聴くことがなく、新鮮に感じた。

 共生と言うのは相手の言いなりになるのではなく、強い自分があってからこそ成り立
つものである事は言うまでもなく、台湾は自立しなければならない、そのための知恵と
理想と意思が必要であると結んだ。

 それが出来るのは台湾人アイデンティティを持ち、台湾の事を心から愛する事が出来
る謝長廷であると言い切りました。

 そうです、2008年の総統選挙は「台湾人アイデンティティと中国アイデンティティの
対決である」と結論つけた謝氏、まだ劣勢と言う勢力もあるが、競馬も最後の直線コー
スが勝負です。

 最後の最後までわからない。これからの飛躍的な支持のもと、来年5/20には総統就任
式で、「包容力」を以ってライバルである馬氏を来賓として迎えられ、強い自力と共生
共存の理念を持った台湾総統としての挨拶を心待ちにしている。

 なお、この講演は主に台湾語で行われた。

 台湾人参加者が多く、台湾人が投票権を持つので当たり前の事ですが、途中、易氏や
金氏が通訳された。

 決して謝長廷は日本語が出来ないのではない。通訳がやや暴走しがちである所をキチ
ンと訂正する事もあったし、何より、京都大学では日本語で講演をしている。

 そして節々に使う日本語はゆっくりとした口調ながらも発音も正確できれいであった。

 その様子は西村慎吾氏の時事通信に取り上げられている。
 http://www.emaga.com/bn/?2007120043873333006358.shingo


<台湾>謝・民進党総統候補、馬・国民党候補の中国寄り批判
【12月18日 毎日新聞】

 台湾の与党・民進党の総統候補、謝長廷・元行政院長(61)は17日、東京都内で講演
し、「来年3月の総統選は台湾アイデンティティーと中国アイデンティティーの対決に
なる」との考えを示し、最大野党・国民党の総統候補、馬英九・前主席(57)を中国寄
りだと批判した。

 謝氏は「台湾は海洋文化であり、大陸文化ではない。国民党政権は中国文化を継続・
発展させようとする過ちを犯した」と指摘。さらに「馬氏の言動は中国共産党の言うが
まま。党名は今も『中国国民党』だ」と語り、自らが提唱する「台湾維新」への支持を
呼びかけた。

 講演会には約500人の台湾出身者らが参加。主催者や来賓が有権者に対し、来年3月に
台湾に戻り謝氏に投票するように呼びかけるなど決起集会の様相だった。前日は日本語
で講演した謝氏もこの日はほとんど台湾語で語った。【成沢健一】