許世楷大使が72年体制の見直しを熱弁

日台の国交正常化前に日本は台湾関係法の制定を!

 1972年(昭和47年)9月、日本は中国と日中共同声明を発表し、台湾の中華民
国と国交を絶ちました。それから33年、当時の冷戦構造はすっかり消え、ソ連は
崩壊し、中国は覇権国家として台頭してきています。
 台湾の許世楷駐日代表は、このところしきりに「72年体制の見直しを」と呼び
かけています。本会の総会における記念講演でもそのテーマでお話しいただき、
機関誌『日台共栄』6月号(第7号)に講演録を掲載しています。その説くとこ
ろは頷くところ多く、説得力に富んでいます。対中国、対台湾政策でなにひとつ
有効な政策を提示し得ない日本にとって、政策立案の基礎となる視点であり、真
剣に耳を傾けるべきテーマかと思います。
 許世楷代表は一昨日も同テーマで講演されたようで、そのことを宮崎正弘氏(
評論家、本会理事)がメルマガ「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」で取り上げ
ていましたので、ここに転載してご紹介します。          (編集部)


「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成17年(2005年)6月15日(水曜日)第1153号

日本と台湾の「72年体制」見直しを期待
冷戦以後の基本構造激変に対応すべき、と許世楷大使が熱弁

 台湾大使に相当する「台北駐日経済文化代表処」代表の許世楷氏が、13日夕
、都内で講演し、日本に72年体制の見直し期待を語った。
 72年体制?
 日華断交以後の日本と台湾の関係のことである。
 当時、台湾行政院院長(首相)だった蒋経国は「断腸の思い」と心情を『文藝
春秋』に綴った。
 まず許代表は台湾にとっての三つの”変数”として米国と中国、日本をあげた。
米国は?超大国であり、ソ連崩壊後は唯一の大国?しかも「台湾関係法」を維持
し、台湾への武器供与と、96年ミサイル危機に際しての空母派遣のように時に
台湾防衛のためには出兵もする?社会的価値観(自由民主人権自由貿易)を共有
しており、これを基礎にした政治体制が共通している。
 一方、中国は?アジアの大国であり、過去16年間は国防費を二桁の拡大。公
表300億ドルだが、米国筋は中国の軍事費を900億ドルと見積もっている?
武力によってでも台湾を併合すると公言し、実際に700基ものミサイルを台湾
向けに実戦配備している?三月には「反国家分裂法」を制定し?社会の基本的価
値観が日本、米国、台湾と異なって一党独裁政治である。
 さて日本は?新防衛大綱で戦後初めて「中国の軍事的脅威」という文言を使っ
たうえ、?米国との”2+2会談”では「共通戦略目標」を設定して(イ)台湾
海峡の平和維持に日米は重大な関心をもち(ロ)中国の軍事力には透明性がない
(軍拡目的は防衛から海洋国家覇権へ)と指摘した。?EUの対中国武器輸出再
開に日本は明確に反対を表明し、?さらに町村外相はNYの講演で、台湾は日本
の防衛範囲に入ると明言した。従来は曖昧に定義して「防衛範囲」だが、こうし
た日本の姿勢の変化は(a)中国の軍拡と装備の近代化(b)ミサイルを日本を
射程としている(c)靖国問題で露骨な干渉をし、(e)中国原潜は白昼堂々と
日本領海を侵犯し、(d)ガス田を一方的に開発し、(f)最近は反日デモで暴
力行為におよんだなどが原因である。
 台湾政治は連戦、宋楚諭訪中が続いたが、台湾の62%が賛成としたのは「行
って話し合う」ことに意義ありと認めただけで、決して統一ではない。
 政府間の対話チャンネルが存在しないで状況なのに台湾企業が1000億ドル
も投資している現状は不都合が多くなってきている。
 しかし連戦訪中では国民党は台湾の主権に触れず「中華民族万歳」と言って帰
ってきたため、連戦に失望、直後の国民代表大会選挙は与党圧勝となった。
 同時に宋訪中も成果が上がらず、かえって宋帰国後、親民党から国会議員が脱
党し国民党へ走り出した。
 台湾国会は2007年改選で定数が半減、小選挙区制が導入されるため、宋楚
諭氏の政党は激減してゆく運命だろう。
 それでも現在の政局で陳水扁政権は、宋楚諭と合意したが、この目的は米国か
らの武器購入予算を国会で成立させんがためである。
 かように見てくれば、日華断行以来33年、冷戦構造はなくなり、台湾は民主
化し、日本が経済大国から政治大国を目指し、改憲が日程にのぼっている。
 これほど基本構造が変化し、日米安保強化を謳っている以上、いまのように日
台間に情報の交換制度もない、という異常な「72年体制」は見直されるべきで
はないか?
 本来なら国交正常化が望ましいが、前段階として日本も「台湾関係法」が必要
ではないか、と許世楷代表は熱弁を振るった。
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