るかもしれない。この感触は、トランプ・習近平の電話会談と安倍総理の訪米でますます強まった。
アメリカの大統領選挙で日米メディアの大半がクリントン当選を予想していたとき、アメリカ政
治を40年にわたって注視してきた国際政治学者の藤井厳喜(ふじい・げんき)氏は独自の分析でト
ランプが当選すると予想した。
1月のトランプ政権誕生に合わせ『トランプ革命で復活するアメリカ─日本はどう対応すべき
か』(勉誠出版、2016年12月刊)を刊行した藤井氏は、続けて『日米対等─トランプで変わる日本
の国防・外交・経済』(祥伝社新書)を出版、改めてアメリカは力強く復活すると述べ、アメリカ
の復活は「日本にも自立と再生のチャンス」と説く。
例えば、トランプ大統領が唱道する「アメリカ・ファースト」だが、どうもガチガチの保護主義
者のようなイメージが先行しているようだが、藤井氏は第4章「アメリカン・ドリームが復活す
る」の中で「アメリカ・ファーストの本当の意味」という小見出しの下、以下のように記す。
「トランプがアメリカ・ファーストを掲げて保護主義を主張しているのは、言い換えれば、生産過
剰の問題を輸出ではなく、国内循環で解決しようということだ。……アメリカの場合、国内市場が
世界一豊かなマーケットなのだから、輸出は経済政策の柱ではない。国内循環で豊かになるなら、
貿易が赤字でも問題ないのだ」
とても分かりやすい論理的な解説だ。全編がこのような説得力に富む解説に貫かれている。
また、本書の魅力は精緻な分析力に基づく「予想」にある。「在日米軍は撤退せず、日米安保体
制は寧ろ強化される」「これからは公正貿易が世界貿易の大原則となり、形式的な自由貿易は最
早、通商政策の原則とはなり得ない」「2期8年の大統領任期を満了すれば、トランプの構想のかな
りの部分は実現する」など、示唆に富む。
・書 名:『日米対等─トランプで変わる日本の国防・外交・経済』
・著 者:藤井厳喜
・版 元:祥伝社
・体 裁:新書判、並製、216ページ
・定 価:824円(税込み)
・発 売:2017年2月2日
・『日米対等』試し読みページ(25ページまで)
http://shodensha.tameshiyo.me/9784396114978