昨日の産経新聞は「大手テレビ局TVBSが15日に発表した世論調査によると、支持率は28%と
就任1年目としては1996年以降の直接投票で選ばれた『歴代民選総統で最低』だ。不支持率は56%
に上る。主な原因は、内政の不人気政策と政策実現のスピード感の無さだ」と報じている。
ただ、よく言われるように世論調査は調査項目によっても変わるし、調査する側の考え方にも左右されがちだ。
TVBSの世論調査は「蔡英文總統就職周年滿意度民調」で、蔡英文政権が発足して1年を迎え
たということで行われた。実は、世論調査では定評があるというシンクタンクの台湾世代智庫も1
周年を迎えるに当たって5月17日に世論調査を発表している。
この世論調査について伝える台湾国際放送は「蔡・総統の政治を『支持する』と答えた人は
54%」と報じている。
ただし、蔡総統への満足度は41.3%で、昨年10月23日に台湾世代智庫が発表した満足度50.6%か
ら9.3ポイント落ちている。このとき、不満と答えた人は45.2%だったが、今回は52.9%となって
7.7ポイント上昇している。確かに満足度が落ち、不満足度が上昇している。
しかし、経済成長率と輸出額が増え、株価も上がり、失業率は低くなっていて、馬英九政権のと
きより改善されていることは事実だ。
だが、満足度は落ちている。目につきやすい年金問題や食品輸入問題などがうまく解決できない
ことが背景にあるのだろうが、経済指標は確実に上向きなのだ。トンネルの出口の明かりは見えて
いる。
◆TVBS民調中心「蔡英文總統就職周年滿意度民調」
http://other.tvbs.com.tw/other/poll-center/
蔡・総統が就任1年、支持率50%上回る
【台湾国際放送:2017年5月17日】
まもなく就任1年となる蔡英文・総統に対する支持率が50%を上回っている。
シンクタンクの台湾世代智庫が17日に発表した世論調査によると、蔡英文・総統に対する支持率
は50%を上回った。
この世論調査は、5月20日に蔡英文・総統が就任1周年を迎えるのを前に行われたもので、蔡・
総統の政治を「支持する」と答えた人は54%、「支持しない」と答えた人は39.7%だった。支持す
る人が半分を上回った。
一方、蔡・総統の政治に「満足だ」と答えた人は41.3%、「不満だ」と答えた人は52.9%で、不
満を示した人も半分を超えた。
また、政党に対する好感度、良い印象を持っているかどうかでは、与党・民進党に対する好感度
が最も高く、39.4%に達した。次いで、時代力量が30.3%、最大野党の国民党25.2%、親民党23.9
%の順だった。
蔡・総統に対する支持率は50%を超えているものの、不満も50%を超えていることについて、民
進党に所属する王定宇・立法委員は、「不満を示している人の立場は二つに分かれている。蔡・総
統の改革を支持する人は改革のスピードが遅いことに不満だ。同時に、政府が改革を推進すること
に不満な人もいる。不満はこの二つの数字が合わさったものであり、180度異なる態度が含まれて
いる」と分析している。
また、2020年の次の総統選挙で、蔡・総統、国民党所属の朱立倫・新北市長、ホンハイ精密工業
の郭台銘・会長の3人を比較したところ、蔡英文・総統の支持率が37.6%、郭台銘氏が30.1%、朱
立倫氏が15.3%だった。また、蔡・総統、朱立倫・新北市長、柯文哲・台北市長の3人の場合、
蔡・総統31.9%、朱立倫氏25.8%,柯文哲氏21.8%だった。
この調査は5月13日と15日の夜に行われたもので、対象は1271人。