蔡英文総統が8月までに訪米 米国側と調整に入る

 今朝の産経新聞を開くと、「蔡総統 8月までに訪米」と打った大きなゴシック文字が目に飛び込んできた。1面トップ記事だった。台湾の蔡英文総統が今年8月までに訪米する方針を固め、米国側と調整に入ったと伝える内容だった。

 このところ、米国と台湾の政府高官が輻輳するように往来している。

 訪米した台湾の呉[金リ]燮・外交部長と顧立雄・国家安全会議秘書長が訪米し、2月21日にウェンディ・シャーマン国務副長官やカート・キャンベルインド太平洋事務協調官など政府高官と会談した。その直前の17日に米国防総省で中国担当高官トップをつとめるマイケル・チェイス国防次官補代理が台湾を訪問したと伝えられ、同じ日に米国連邦議会下院「中国特別委員会」のマイク・ギャラガー委員長が2月17日に訪台していた。

 米国側も台湾側もほぼ極秘に近い訪問で、会談内容は公表されていない。

 行政院の陳健仁・院長は2月24日に立法院で所信表明を行った際、同行した呉[金リ]燮・外交部長は質疑応答で、ワシントンで行われた会談の内容について質問され「台湾とアメリカとのコミュニケーションがスムーズであり、常に双方が関心を持つ話題について意見を交換している。会談の内容は双方の暗黙の了解により外部には説明しない」(台美之間溝通無礙,經常就雙方關心議題意見交換,但是會議内容依照雙方默契,不對外説明)と答えていた。

 中央通迅社など台湾メディアにもあたってみたが、蔡英文総統訪米についての記事は見当たらなかった。どうやら産経新聞の矢板明夫・台北支局長のスクープのようだ。

 産経は、訪米の目的について「来年5月に退任する蔡氏は政権の外交成果の集大成」とし、呉外交部長と顧国家安全会議秘書長が訪米したときの米国側の高官との会談には「議題に蔡氏の訪米計画が含まれていたとされる」と伝え、また「いずれの訪米形態でも米国側の要人と非公式に会談を行う予定」と報じている。

 蔡英文総統の訪米が実現し、ホワイトハウスでバイデン大統領と会談するなら、2016年12月のトランプ次期大統領との電話会談の比ではない。米国と台湾との国交樹立も視野に入ってくる歴史的な一大事となるだろう。蔡英文総統の訪米実現をおおいに期待したい。

—————————————————————————————–蔡総統 8月までに訪米【産経新聞:2023年2月25日】https://www.sankei.com/article/20230225-HCIBWOORVBIMPCP63VEBJN7REQ/

【台北=矢板明夫】台湾の蔡英文総統が今年8月までに訪米する方針を固め、米国側と調整に入ったことが24日、分かった。複数の台湾当局関係者が明らかにした。来年5月に退任する蔡氏は政権の外交成果の集大成として訪米し、米台関係の緊密さをアピールする狙いだ。米台接近を嫌う中国の猛反発が予想され、米台双方で蔡氏による訪米の時期や形式などについて検討している。

 実現すれば蔡氏の訪米は2019年7月以来。

 関係者によると、現在浮上している蔡氏の訪米案は3つある。1つ目は母校の米コーネル大学が主催するイベントに招待され、講演する形だ。過去には元総統の李登輝氏が1995年、同大で講演した例がある。

 2つ目は、米シンクタンクが主催するイベントに参加する形態となる。蔡氏はここ数年、オンラインで米有力シンクタンクが主催するシンポジウムなどで演説した実績がある。

 3つ目は8月に予定されている南米パラグアイの大統領就任式に出席し、米国に立ち寄る案だ。パラグアイは台湾と外交関係を維持する14の国の一つ。蔡氏は前回2018年8月の大統領就任式にも出席した。

 いずれの訪米形態でも米国側の要人と非公式に会談を行う予定だという。

 米中だけでなく中台関係も悪化する中で訪米が実現すれば、「台湾は中国の一部」と主張する中国が厳しく反発するのは必至だ。昨年8月のペロシ米下院議長(当時)の訪台では中国軍が台湾海峡周辺で大規模な軍事演習を実施した。蔡氏が訪米すれば、中国が対抗措置に出る可能性もある。

 台湾の呉[金リ]燮外交部長(外相に相当)らは21日までに訪米し、複数の米国側の高官と非公式会談を重ねた。議題に蔡氏の訪米計画が含まれていたとされる。与党・民主進歩党の関係者は「台湾海峡付近で軍事的緊張が高まっており、いざというときに、米国が頼りになるかについて不安を覚えている人は少なくない」と述べた上で、「蔡氏の訪米が実現すれば、米国が台湾を重視していることが確認され、大きな安心材料になる」と話している。

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