去る6月、台湾の駐日代表から日本との窓口である亜東関係協会会長に栄転した
羅福全会長が産経新聞のインタビューに応え、来年度から東京大学と「台湾講座
」を開設することを合意したことなどを明らかにしました。本日付の産経新聞
です。
因みに、東京大学には来春、「台湾法律研究講座」が開設されることになって
います。去る5月24日の開設調印式の折、羅福全駐日代表は「多くの台湾人が学ん
だ東大の発展は台湾の人材育成の縮図。台湾近代化の軌跡が解明されることを希
望する」と述べています。
尚、本会の第2回総会における羅福全氏の記念講演「台湾近代における日本経験
−教育に力を注いだ日本時代を評価して定まる台湾近代史」の全文は、機関誌『
日台共栄』第2号(8月1日発行)に掲載しています。 (編集部)
亜東関係協会・羅福全会長に聞く FTA締結など実務関係を拡大
8月13日付「産経新聞」
【台北=河崎真澄】台湾の対日交流窓口機関である亜東関係協会の会長に先月就
任した羅福全氏は、産経新聞とのインタビューで、自由貿易協定(FTA)締結
など相互利益に基づく日台間の実務関係拡大に意欲を示した。また、緊張が高ま
る中台関係は、日米も交えた国際問題として対処すべきだとの認識を示した。
5月の世界保健機関(WHO)年次総会で、台湾のオブザーバー参加に日本政府
が米国とともに賛成票を投じたことについて、羅氏は「中国当局からの激しい圧
力にもかかわらず日本は国益重視の姿勢を貫いた」と高く評価した。結果的に台
湾の参加は認められなかったが、台湾当局は韓国や東南アジアの複数国の関係者
から、「日本は対台湾政策を転換したと判断すべきか」との問い合わせを受けた
という。
また羅氏は、「日台双方に経済利益をもたらすFTA締結は、2002年1月に台湾
が正式加盟した世界貿易機関(WTO)の延長線上にある」と話し、台湾の対外
FTA交渉に国際政治圧力を加える中国当局を牽制(けんせい)するとともに、
日本に対中配慮よりも「国益」を優先するよう求めた。
緊張関係が高まる中台関係については、「相次ぐ海洋資源調査や海軍力強化な
ど海洋進出を急ぐ中国の戦略は明確で、緊張は中台問題にとどまらない」と述べ
、中国の潜在的な脅威が日米を含む太平洋全体の問題だとの見方を示した。また
、「周辺国を威嚇し続ける中国に責任ある大国としての行動を自覚させられるか
。アジアにおける日本のリーダーシップが期待されている」と強調した。
また、日台交流の拡大では、亜東関係協会が東京大学と来年度からの「台湾
講座」設置で合意したことを明らかにした。羅氏は、「若い世代の相互理解と交
流促進に力を入れて、研究者の育成も支援したい」と話した。