いったいどちらに利があるのか。中国がより深刻な経済打撃を受けると指摘する専門家が多いという。「大紀元」紙が伝えているので下記に紹介したい。
また、中国貿易が主力を占める台湾にも影響は必至で、頼清徳・行政院長は3月23日の立法院における答弁で「その影響で中国大陸で展開している台湾企業がその拠点を東南アジア、またはアメリカに移し、あるいは台湾にUターン投資する可能性がある」と述べるとともに「中国大陸側はアメリカが制裁措置を発表する前、すでにアメリカの動向を把握しているに違いない。そのため、台湾に対して31項目の措置を発表したのだ。その目的は台湾企業を引きとめようとすることにある」(台湾国際放送)と説明したという。
—————————————————————————————–米中貿易摩擦、「中国の政権崩壊につながりかねない」【大紀元:2018年3月26日】
トランプ米大統領は22日、中国が米の知的財産権を侵害しているとして、600億ドル(約6兆3000億円)相当の中国製品に対する追加の関税賦課を決定した。中国当局は報復措置を辞さない姿勢を見せているが、専門家は、米中貿易戦のぼっ発で、中国当局がより深刻な経済打撃を受けると指摘した。
「中国の人々と習近平国家主席は友人だ。」大統領は同日、ホワイトハウスでの記者会見でこう述べた一方、対中貿易赤字は「コントロールできないレベルに達したと批判した。中国側の不公平な貿易慣例によって米国内で6万の工場が閉鎖に追い込まれ、600万人の雇用が失われたと指摘した。
中国当局は、これに対応措置を講じる姿勢を示した。商務部は23日、米からの果物や豚肉、鋼管など輸入製品に対して30億ドル(約3150億円)規模の追加関税を課すると発表した。これは米側年間最大600億ドル規模の追加関税の5%程度だ。
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)アンダーソン・スクール・オブ・マネジメントの兪偉雄教授は、中国側が報復措置を実施することで、トランプ政権はさらに強硬姿勢を示すと指摘した。
「トランプ大統領の周辺にいる顧問は現在、ほぼ対中強硬派だ。巨額な対中貿易赤字の削減に関して、共和党も民主党もトランプ政権を支持している」
「中国側の報復措置に対して、米政府が第2弾、第3弾と次々に追加制裁措置を実施していくなら、米経済にも多少の打撃を与えるが、中国経済には、より深刻なダメージを与える」
兪教授は、中国当局は深刻な債務の急増など山積する経済難題を抱えているため、米政府の強烈な対中貿易制裁措置で、中国経済が崩壊する危機にひんする可能性があるとの見解を示した。
また教授は、米国債の売却は、中国側にとって唯一の有効な対米報復策だとした。しかし、米国債の売却は、米経済だけではなく、中国経済にも打撃を与えることになるとした。
「また米国債の売却に伴って、中国当局は、ドルを人民元に替える必要があるため、為替市場では元高ドル安が一気に進む」と兪氏は述べた。元高は、輸出主導の中国当局にとって、輸出競争力を損ね、輸出不振を招く原因となる。
一方、台湾メディアの「アップメディア」(23日付)が掲載した評論記事では、一部の専門家は、中国の米国債売却の可能性に関して、「米国債は低リスク金融投資商品で、世界各国の政府系や民間投資ファンドなどから高い人気を得ているため、米国債を売却しても買い手は多い。中国の米国債売却による報復効果は薄い」とみている。
同記事は、中国の経済成長は輸出に依存し、長年の対米貿易の黒字拡大によって、中国は膨大な量のドルを獲得したと指摘した。「年々増える中国の外貨準備高をみると、中国の個人消費と投資は大きな変化がなく、中国経済の主要原動力になっていないのは明らかだ」
さらに記事では、トランプ政権の対中貿易措置の実施で、中国共産党政権を支える輸出主導型経済成長モデルが崩壊するうえ、共産党政権の崩壊にもつながりかねないと分析した。
中国国内のインターネット上では、中国の報復措置について批判の声が上がった。「米は中国のハイテク製品に追加関税を課するのに、中国は米国産の農産物に追加関税を課す。われわれを餓死させる気なのか? 誰がこのリストを作ったのか? 本当にけしからん」
(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)