北朝鮮が打ち上げを予告した長距離ロケットを迎撃するため、米国は台湾に設置したミ
サイル防御システムを初めてフル稼動したと、香港マスコミが報じた。
香港のニュース週刊誌「亜洲週刊」は最新号で、北朝鮮長距離ロケットの追跡や迎撃関
連の核心施設は台湾新竹山・楽山レーダー基地だと報道した。米国、日本が北東アジアに
構築した全域ミサイル防衛(TMD)体制の中枢施設という意味だ。
米国は、今年末の正式稼動に向けて同基地に設置した超大型早期警報レーダーシステム
をテスト運用してきたが、最近の北朝鮮事態でフル稼動に入ったという。このシステムを
稼動すれば、北朝鮮がロケット打ち上げのためレーダーを稼動するや否や、ロケットの軌
道を予測できるデータを収集できる。さらに、このデータは米コロラド州に位置した北米
航空宇宙防衛司令部へ伝送され、さらに精密な分析を経て日本に提供され、迎撃時の参考
資料として活用される。
このレーダ基地は、台湾政府が約300億台湾ドル(約10億ドル)を米国に提供して建設
され、米国が運用している。得られるデータも米側が検討した後、一部だけを台湾軍に提
供している。台湾政府がこのように他国の軍事施設に資金を援助し、領土を提供するのは
米国が主導するTMD体制の保護を受けるため。また、これを通じて米国、日本と準軍事
同盟を結べるためだ。台湾は中国福建省などに設置されたミサイルを主要脅威と見ている
が、対中関係などを考慮してTMDに加入していない。
このレーダシステムの主要偵察対象は中国大陸だ。テスト運用期間に中国の四川、青
海、新疆などの長距離弾道ミサイルに対する偵察稼動を行ってきた。現在、米国は赤外線
早期警報衛星と全地球測位システム(GPS)を通じてロケットの軌道を追跡している
が、追跡にかかる時間や精度、迎撃などの面では、地上に設置した同システムにはかなわ
ないという。
同誌は、このシステムを通じて今後、海上で日本のイージス艦が北朝鮮の長距離ロケッ
トを迎撃する場合、北東アジア全体のミサイル防御システムに大きな進展があるだろうと
書いた。ただし、同地域で戦争が起きる場合、レーダ基地は1次打撃目標になる危険があ
ると、同誌は伝えた。