福田首相が日本版NSC新設のための改正法案の廃案を決定

遠のいた台湾有事への対応を含めた集団的自衛権行使への道

 安倍晋三首相が政権の目玉の一つとして唱道していた日本版「国家安全保障会議」
(NSC)構想を、元々その必要性を認めていなかった福田首相が葬った。

 日本版NSC新設のための安全保障会議設置法改正案を、今国会で廃案にすることを
決めた。これで、台湾有事への対応を含めた集団的自衛権行使への道は一歩遠のいた。

 その理由は、福田首相が「従来の枠組みを活用することで官邸主導の外交・安保政策
の企画立案機能を強化することは可能だと判断したため」だと言うが、従来の枠組みで
は不可能と判断していた安倍首相との考え方の違いがはっきりと分かる対応である。

 これで日本はまた「戦後レジーム」という無菌室に舞い戻った。     (編集部)


日本版NSC見送り 首相、従来の体制活用
【12月25日 産経新聞】

 政府は24日の安全保障会議で、日本版「国家安全保障会議」(NSC)新設のための
安全保障会議設置法改正案を、今国会で廃案にすることを決めた。内閣官房にある準備
室も近く廃止する。参院で野党が過半数を握る「ねじれ国会」のもとでの成立が困難に
なっていることに加え、福田内閣としては日本版NSCがなくても従来の枠組みを活用
することで官邸主導の外交・安保政策の企画立案機能を強化することは可能だと判断し
たためだ。

 福田康夫首相は同日の安保会議で、関係閣僚に対し「目下の政治状況にかんがみ、法
案が成立する見込みは極めて乏しい。官房長官、防衛相、外相で、従来にも増して一層
緊密に協議する形で、国家安全保障会議で求められていた機能を事実上果たしていくよ
うにすべきだ」と指示した。

 日本版NSCは、安倍晋三前首相が官邸主導による機動的な外交・安保』戦略立案や、首
相官邸の情報集約・評価機能の強化を目指すために、創設を提唱した。小池百合子元環
境相を担当の首相補佐官に任命し、有識者による「国家安全保障に関する官邸機能強化
会議」(座長・石原信雄元官房副長官)を設置、同会議の最終報告を受け、今年4月には関
連法案を通常国会に提出した。

 しかし、7月の参院選で自民党が大敗して、参院で野党が過半数を握ったことから、法
案成立は厳しい状況となっていた。

 福田首相は日本版NSCが必ずしも必要ではないとの立場だ。首相は同日、首相官邸
で記者団に対し、「個人的な意見」と断りつつも、「NSCのような機能は官邸にある。
危機管理監が危機管理をやっているし、有事法制の中で事態対処(専門)委員会などが
ある。そういう機能をさらに強化する考えもある」と説明した。

 これに対し、町村信孝官房長官は同日の記者会見で、福田内閣が“安倍カラー”の払
拭を図っているとの評価を避けるためか、廃案することについては「安倍氏を含め、関
係者の了解を得ている」と強調した。その上で「官邸機能の強化は、引き続き必要だ。
法律がなくとも、やれることはしっかりやる」と訴えた。


国家安全会議(NSC)

 米政府が、安全保障にかかわる外交・防衛政策について企画立案し、決定する政府最
高レベルの会議として1947年に創設した。大統領が議長を務め、副大統領、国務長官、
国防長官らがメンバー。事務局長は国家安全保障問題担当の大統領補佐官、スタッフは
約200人で構成される。


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