AEIのマイケル・マッザ研究員が、台湾の「Taipei Times」に9月20日付で論説を寄稿
し、台湾の馬総統が、尖閣問題の解決のために日中台の三者による協議を呼びかけ、資源
の共同開発を提案していることについて、この提案は誰にも相手にされないかもしれない
が、もし何らかの成功を収めれば、竹島問題にも好影響を与えようし、台湾の国際的発言
力にも寄与するであろう、と論じています。
すなわち、馬総統は、台湾、日本、中国がまず挑発的な行動を差し控え、国際法に従
い、行動基準を定め、資源の共同開発を行うことを提案している。馬は、問題を国際的な
調停に委ねることさえ提案している。
現状では、誰もこの提案に乗る当事者は無いだろうが、緊張が緩和して来るにつれて、
将来の事件の再発を防ぐことを考えるようになるかもしれない。馬の提案は、その際の一
つの出発点となりうる。そして、可能性は極めて低いにせよ、竹島問題解決への手本にな
るかもしれない。
アジアの領域問題は、解決が難しい問題だが、台湾が地域において建設的役割を果たす
機会を提供しているとも言える。そして、台湾がこの機会を捉えることが出来れば、これ
は台湾に国際的役割を与えることになるかもしれない、と論じています。
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筆者自身認めているように、この提案が関係国に受け入れられる可能性は極めて低いと
言わざるをえません。中国が、現時点で、台湾にそこまでの政治的役割を与える用意があ
るとは考えられません。
また、日本にとっては、馬総統は公平な第三者ではありません。李登輝元総統は、尖閣
は日本の領土であると認めていますが、馬は、従来、尖閣の台湾(中国)帰属を主張して
います。
また、台湾の人民の間では、馬総統が今回の任期中に、政治的に中国と接近するという
危惧はいまだに払拭されておらず、その言動は信頼されていません。
そして、この馬提案は、交渉による政治的解決を主張していますが、法的立場が強く、
かつ、現に実行支配している日本にとっては、交渉による解決の余地は無く、日本が求め
るべきは司法的解決です。したがって、国際司法裁判所による判決を求めることが、日本
の取るべき王道であると思われます。
この論説の意義は、台湾が国際的役割を果たし、そのことによって国際的立場を高める
よう促すこと、すなわち、台湾への支持表明にあると言えるでしょう。