武漢肺炎こと新型コロナウイルス感染症の急増を抑えるため、政府は明日(7日)、東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県を対象に、4月7日に発出以来、2度目の緊急事態宣言を出す予定です。8日から飲食店に午後8時までの営業時間短縮を要請し、企業には出勤者を7割削減させることを目指すテレワークの協力を求める方針だそうです。
昨年11月、産経新聞「正論」欄に「新型コロナ感染不安の心理学」や「緊急事態への対処─明治の教訓」などを寄稿して警鐘を鳴らしてきた渡辺利夫氏(拓殖大学学事顧問)と、英国事情をよく知り、皇室問題や憲法問題に深い造詣を有する田尾憲男氏(神道政治連盟首席政策委員)がこのコロナ禍の日本的克服をテーマに対談、『日本人の底力─コロナ禍で問われる日本の針路』として出版されました(肩書は本書刊行時のものです)。
「問われている日本人の死への心構え」「コロナ禍で見直される日本人の美徳」「コロナ対策に成功した台湾の奇跡」などについて縦横無尽に話し合い、最後は緊急事態条項が設けられていない日本国憲法の欠陥問題にまで及んでいます。
もちろん、中国へも言及し、渡辺氏は「語るべきは、中国というより共産党という支配権力」であり、コロナ禍のいまだから「中国共産党への認識を怜悧にする時期」と喝破しています。碩学といってよいお二人の知見や洞察に満ちながらも読みやすく、読んでいて腑に落ちるところの多い一書です。
再び緊急事態宣言が出されようとしている現在、どのようにコロナ禍を認識したらよいのかを改めて考える格好のブックレットです。ご一読を勧めます。
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渡辺利夫(わたなべ・としお)拓殖大学学事顧問、前総長、元学長。昭和14年山梨県甲府市生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。同大学院経済学研究科修了。経済学博士。筑波大学教授、東京工業大学教授、拓殖大学教授を経て現職。専門は開発経済学・現代アジア経済論。(公財)オイスカ会長。日本李登輝友の会会長。(本書掲載の略歴)
田尾憲男(たお・のりお)昭和17年香川県生まれ。東京大学法学部私法ならびに政治コース卒。英国サセックス大学留学経済学専攻。日本国有鉄道(現JR)に入社し、鉄道情報システム株式会社監査役、顧問。皇學館大学特別招聘教授などを歴任。現在、神道政治連盟首席政策委員、日本交通協会理事、日本文化興隆財団理事など。(本書掲載の略歴)
・書 名:『日本人の底力─コロナ禍で問われる日本の針路』・体 裁:A5判、並製(ブックレット)、64ページ・定 価:660円(税込み)・発 行:令和2年11月10日・版 元:明成社 https://meiseisha.thebase.in/items/34888348
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