市議会におきまして、『台湾出身者の戸籍表記是正を求める意見書(案)』が共産党も賛成し、
【全会一致】で可決しました」という嬉しいご連絡をいただきました。
本会が戸籍問題に取り組んだのは6年前の平成22年(2010年)11月。以来、シンポジウムを開
き、街頭署名活動を通じて問題への理解を求めるとともに、小田村会長(当時)がその署名を付け
て法務大臣へ要望書を提出。また、国会議員の協力を得て外交委員会での質疑や政府への「質問主
意書」提出などを展開し、石川県議会と宮城県議会では「意見書」を可決して政府に要望していた
だきました。
石川県議会では宮元陸(みやもと・りく)議員(現在、加賀市長)が中心となり平成24年10月2
日に意見書を可決し、宮城県議会は本会宮城県支部(嶋津紀夫・支部長)の請願に基づき、相沢光
哉(あいざわ・みつや)議員が取りまとめ役となって平成24年10月11日に可決しています。
今回、三井田議員が起案者となり、議会運営委員会が提出者となって可決された意見書はそれ以
来となります。また、共産党も賛成する全会一致は初めてのことです。
この柏崎市議会の意見書の末尾に「理由」が付いていて「日本における台湾出身者の尊厳、人権
を守るため」と記されています。「理由」の付記はこれまでの意見書には見られなかったことで
す。
台湾ではこの5月20日から蔡英文政権が発足します。蔡英文氏がなによりも大切にしているのは
「台湾人の尊厳」で、民進党も社会福祉や環境保護とともに「人権」を守ることを主張してきまし
た。
まさに柏崎市議会が可決した意見書の「理由」が蔡英文政権の核心でもあり、今後、蔡英文政権
から日本に戸籍問題に関する要望が出されることも十分あり得ることです。
日本と台湾がさらなる友好親善を深めていくためには、「日本における台湾出身者の尊厳、人権
を守るため」に、この戸籍問題が必ず解決されなければなりません。
三井田議員は「今後、新潟県議会はもとより、他自治体の地方議員にもご協力頂けるよう活動し
ていく所存です」と、力強い抱負を述べられています。
地方議会で活躍する親台派の議員の方々には、ぜひ三井田議員に続いて「意見書」を取りまとめ
ていただきますようお願いします。本会会員をはじめ台湾に関心を深める方々には、陳情や請願を
もって議会を揺り動かしていただきますようお願いします。
なお、柏崎市議会で可決された意見書は、市議会ホームページに掲載されています。
◆平成28年2月定例会議:議員・委員会発案 第2号
http://www.city.kashiwazaki.lg.jp/gikaigiji/shigikai/gian/h28/gian.html#h2802
台湾出身者の戸籍表記是正を求める意見書(案)
現在、台湾出身者が日本人と結婚、また帰化した場合、戸籍の国籍や出生地には「中国」もし
くは「中国台湾省」と表記されている。
柏崎市においても、台湾出身者を「中国」と表記するため、手続きの際に担当者が台湾出身者に
対して説明をし、理解を求めている状況にある。
「中国」とは中華人民共和国のことであり、中国台湾省とは中華人民共和国の行政区を指すた
め、台湾出身者を中国人としている。
しかし、台湾は一度たりとも中華人民共和国の統治を受けたことはなく、これは台湾出身者の尊
厳、人権に関わる重要な問題である。
戸籍において、台湾出身者を「中国」としたのは、昭和39年6月19日付で出された法務省民事局
長よる「中華民国の国籍の表示を『中国』と記載することについて」という通達が根拠となってい
る(参議院、平成23年8月19日 「答弁書第256号」)。
中華人民共和国と日本の国交を樹立し、中華民国(台湾)と断交したのは昭和47(1972)年。こ
の国際関係を反映しないまま、戸籍では台湾出身者を「中国」と記載する状態が続いている。
平成24年7月9日、外国人登録証明書を廃止し、新たな在留カード制度に移行された際には、「国
籍・地域」欄を設け、台湾出身者は「中国」ではなく「台 湾」と表記。同時に実施された外国人
住民基本台帳でも、台湾出身者の「国籍・地域」は「台湾」と表記するようになった。
つまり、同じ法務省内の在留カードや外国人住民基本台帳と、戸籍の国籍欄の整合がとれていな
い。
よって、下記の事項を実現するよう法務大臣に強く求める。
記
1 戸籍の国籍欄および出生地欄を「国籍・地域」と改め、台湾出身者を「中 国」ではなく「台
湾」と表記するよう、早急に新たな民事局長通達を出すこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成28年3月25日
柏崎市議会
理由
日本における台湾出身者の尊厳、人権を守るため。