先日、ある勉強会から声がかかって、台湾のことを話しに行った。台湾の歴史からということ
だったので、高山国の話から始めた。また、戦後の独立運動について、台湾共和国臨時政府のこと
や、台湾青年社に始まる台湾独立建国聯盟と台湾党内の民主化運動や、国際社会の承認切り替え
や、米国の台湾関係法について説明した。
【疑惑の声を封じようとする林志昇】
その勉強会の開催を知って、その会のある「民政府」を支持しているメンバーが、私を呼ぶこと
に反対したそうだ。「反対派の講演会を開くことは民政府反対運動をするのと同じだ」と会長に
迫ったらしい。
今年の1月24日、林志昇は2月15日に、日本の『皇民日報』を名誉毀損で訴え、「損失賠償」と
して3億台湾ドルを請求すると発表したとされる。同誌は去年の6月3日に「台湾(民)政府、その
実態は詐欺行為くりかえす“カルト集団”」という記事をネットで発表したので、それが原因であ
ろう。現在、『皇民日報』のサイトは事実上閉鎖されている。名誉毀損訴訟は中国国民党が良く使
う手である。
林志昇集団が、疑惑の声を押さえようと躍起になっていることがわかる。
【権威を利用して疑惑を払拭しようとする林志昇集団】
その人が、その会長を通じて、3つ、質問をよこしてきた。要は、林志昇集団は詐欺集団ではな
いということを、さまざまな権威を利用して示したいらしい。
その一つは次のものであった:
>台湾民政府公式サイトにある、御茶ノ水女子大学附属高校が
>研修旅行で台湾民政府を訪問したという情報は事実か?
>詐欺集団を訪れるとはどういうことか?
>ご存知の通り、悠仁親王はお茶附の小学校です。
> http://www.fk.ocha.ac.jp/report/2013/1112_1152.html
> http://usmgtcg.ning.com/forum/topics/2013-10-20
つまり、この人は、「御茶の水女子大学附属高校が台湾民政府を訪問した」と認識しているよう
に見える。巧妙なのは、「事実か?」と質問の形にして、それが事実かどうかについての断定を避
けていることだ。自らは、肯定も否定もしていない。それで、読んだ人には事実であるかのように
思い込ませるわけである。
かつ、皇族との関わりにも言及。いかにも詐欺師がやりそうなことである。
【思い込ませる手口】
そして、リンクを開いてみると、たしかに、御茶の水大学附属高校が台湾研修を行ったようだ。
しかし、高校側のページには、「民政府」とのかかわりを示す記載はまったくなかった。
そして「民政府」のホームページのほうには写真が4枚掲載されている。
まず、おかしいのは、タイトルが「日本 茶之水女子高校 訪問團」となっていて、「御茶ノ水」
の「御」を削除していることである。
林志昇の若い妻・林梓安は西安出身の中国人で、スパイではないかと疑われている。だれが、こ
のページを作成したかは不明だが、日本の代表的な大学の名前から「御」を削除したいというの
は、単なる、日本理解の不足ではなく、中華思想の現れである。
台湾では「おにぎり」を「御飯団」として販売し、また「御茶園」というお茶が販売されてい
る。林志昇集団は、一般の台湾社会よりも、なお、中国的な性質を示していると言えよう。
あるいは、高校側から抗議されたときに、「御茶の水女子大学附属高校」とは書いていない、と
言い逃れをするためか?
1枚目の写真は、日本の女子高生らしい一段が、日の丸や、「民政府」の旗を持って、集合写真
に写っている。おそらく女子高生たちは、「民政府」の主張や報道を知らないで、ただ、歓迎に来
た団体の旗だと思って、手にしたのだろう。
2枚目以降は、ある日本人の婦人が、どうやら、お土産の包みを持って「民政府」を訪問した写
真である。河村常夫に出迎えられて、その婦人が、林志昇やその新しい妻・林梓安とも会ったこと
がわかる。
その写真に写っている「民政府」の入り口には「台湾(民)政府/歓迎/御茶の水女子大学附属
高校親善訪問団加藤○○○さん/[草冠の下にさんずいに位]臨」(民政府は○○さんの訪問を歓迎
します)という紙が貼ってある。
たしかに、この女性は、集合写真にも写っている。
実は、加藤○○○さんはたまたま知り合いなので、連絡を取ってみた。「御茶の水大学附属高校
の台湾研修のスケジュールではない」、「写真がそのような宣伝に使われているのは知らない」、
ということだったので、そのページをプリントして、林志昇集団についての資料とともに送ったと
ころ次のようなメッセージをいただいた:
「資料をお送りいただき大変驚いております。先方のことが良くわかりました。今まではまったく
知らず、台湾の方より紹介され、個人の方との付き合いでした。利用されました。今後は一切関係
を持つことはありません。」
つまり、もしあなたが有名人であったり、名誉ある団体に所属していたり、関わっていたりした
ら、彼らはそれを利用するという教訓なのである。特に、インターネットを使わない人は、彼らが
怪しいという情報に触れていない可能性があるので、気をつけたほうがいいだろう。
参考:
日本語ネットメディアで出された「民政府」についての注意喚起(『台湾の声』を中心として。他
誌の場合は注記した)
2013/03/21 【読者便り】さよなら「台湾民政府」
2013/04/10 【要注意】「台湾民政府」林志昇カルト集団に注意!(長文)
2013/04/14 【林志昇詐欺集団】警察でも警戒呼びかけ
2013/04/18 【読者便り】台湾民政府は林志昇のカルト詐欺集団である
2013/04/20 【NEWS】台南警察、林志昇集団のチラシを詐欺と断定
2013/05/15 “詐欺集団!?「台湾(民)政府」にご注意を!傳田 晴久”の紹介文〔日本李登輝友の
会メールマガジン「日台共栄」Vol.1862〕
2013/05/16 【傳田晴久の台湾通信】「台湾民政府」詐欺にご注意を
2013/06/03 台湾(民)政府、その実態は詐欺行為くりかえす“カルト集団”〔『皇民日報』現在
閲覧不可〕
2013/10/04 【台湾から警告】林志昇集団、狙いを日本に〔台湾の声台湾レポート 〕
2014/02/07 保守派は注意!台湾は「天皇の領土」に非ずー不敬な謬説流布する「台湾民政府」の
目的とは〔台湾研究フォーラム永山英樹氏ブログ『台湾は日本の生命線!』〕
2014/02/08 【 NEWS 】台湾研究フォーラムも林志昇集団について警鐘
2014/02/09 【QアンドA】「台湾はどの国の領土?」
2014/02/10 【反響】林志昇集団の悪質さ/「台湾是 [ 口那 ] 一国的領土?」
2014/05/21 【注意喚起】林志昇集団とその分派の主張の危険性
2014/05/21 【反響】人の名前を勝手に利用する林志昇グループ
2014/05/22 “林志昇集団とその分派の主張の危険性 多田 恵”の紹介文〔日本李登輝友の会
メールマガジン「日台共栄」 Vol.2136 〕
2014/06/16 【台湾紙報道】「台湾民政府」による証明書販売、捜査機関が違法性を調査
2014/06/17 【告発】呆れた!林志昇集団河村常夫が虚偽の宣伝
2014/06/21 【アンディ・チャン】林志昇の嘘を検証する