た。会場となった都心にある大手町サンケイプラザの収容数は、目いっぱい入れて600人。満席と
なった。
小田村四郎・本会会長が開会の挨拶を述べ、渡辺利夫・拓殖大学総長が来賓を代表して挨拶され
た後、司会の王明理さん(本会理事・台湾独立建国聯盟日本本部委員長)が李登輝元総統の入場を
アナウンス。李元総統が壇上に現れるや、会場は割れんばかりの文字どおり万雷の拍手に包まれ
た。
この拍手に応え、李元総統が「日本李登輝友の会の小田村四郎会長をはじめ、会員の皆さま、ご
来賓の皆さま、会場にお集まりの皆さま、こんばんは!」と挨拶されると、会場からも大きな声で
「こんばんは!」と谺(こだま)のように返ってくる。
いよいよ講演の開始。
<今回、日本李登輝友の会の招聘を受け、5年ぶりに日本へ参りました。かくもたくさんの皆さま
の前でお話しできることは大変光栄なことと感じております。
また本日、会場には、家内と2人の娘も来ております。日本へ行くことを決めたとき、娘たちか
ら「これほど日本と縁の深い父親なのに、一緒に日本へ行ったことが一度もない」ということで、
91歳になって初めて娘たちを連れて日本へ参ったわけです。
さて、それではさっそくお話しを始めましょう。>
このような前置きで始まった講演は、壇上の上に掲げられた横看板の演題とは異なり「人類と平
和━アジアの平和を求めて」と改められていた。
大阪講演は「これからの世界と日本」という演題で、東京講演も同じ演題で臨まれるという事前
打ち合わせだったが、直前になって講演内容の一部を改め、演題も変更された。
李登輝元総統はこの講演で、アメリカの凋落により今や世界は主導する国家なき戦国時代に入っ
たという認識を示すとともに、「こうした混沌とした時代のなかで日本が生き抜いていくためには
何が必要か」と問いかける。
また、安倍首相が決断した集団的自衛権の行使を歓迎すると述べるとともに、「奇しくも、本日
は安倍首相の60歳の誕生日です。心からお祝いを申し上げるとともに、さらなる活躍を台湾から期
待しています」とも述べ、安倍首相への信頼感と期待感の大きさを示される。
講演のポイントは、戦争とはなにか、平和とはなにかにあった。トルストイをも援用されての力
強い約40分のご講演は瞬く間に終わったという印象だ。
この東京講演の全文を、本日(10月9日)発売の「歴史通」11月号が巻頭にオールカラーで掲載
している。写真は、来日の全行程に同行したカメラマンの淺岡敬史氏によるものだ。改めて活字で
読んでみると、その思考の深さに驚かされる。ご一読を勧めたい。
◆「歴史通」11月号
http://web-wac.co.jp/magazine/rekishi/