「学生たちには、学生たちなりの意見があります。彼らだって国のためを思って行動しているので
す」と訴え、「馬総統は一刻も早く彼らの話を聞き、少しでも早く学校や家に帰す努力をするべ
き」と表明したことはいまだ記憶に新しい。
昨年6月に出版した『李登輝より日本へ 贈る言葉』(ウェッジ刊)では、3月30日の50万人デモ
にも参加しようとしていたことを明らかにしつつ、次のように述べられている。
<この十数日の間、学生たちが台湾に対して見せた情熱や理想の追求は明るい希望をもたらしてく
れました。そして3月30日には、総統府前でサービス貿易協定の密室協議に反対するデモを行い、
台湾の歴史上例をみない50万人(主催者発表)という人々が総統府前広場を埋めたのです。
実はこの日、私も参加したいと思っていたのですが、2人の娘と孫娘に「まだ風邪が完全に治っ
てないでしょう。そのかわり私たちが行くから」と諭される始末でした。
帰宅した孫娘が興奮気味に「本当にたくさんの人が集まっていて身動きもとれなかった。あんな
にもたくさんの台湾人が立ち上がったのよ」と報告してくれるのを聞きながら、私は学生たちに対
して感謝の念さえ持ち始めていました。なぜなら、民主主義というものは、単に投票の権利を手に
することではなく、人民自ら政治へ参加すると同時に、政府を監督することによって初めて実現さ
れるということを広く知らしめてくれたからです。>
4月4日、李元総統と曾文恵夫人は「ひまわり学生運動」のリーダーたちと会い、台湾の現状や民
主改革などについて意見交換を行なったという。中央通信社の記事から紹介したい。
なお、『李登輝より日本へ 贈る言葉』(ウェッジ刊)は、本会で取り扱っています。お申し込
みは下記のフォームからお願いします。定価2,592円(税込)のところ、会員は2,370円(税込)、
一般は2,480円(税込)と廉価でお頒ちしています。
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李登輝元総統、立法院占拠の学生リーダーらと意見交換
【中央通信社:2015年4月6日】
(台北 6日 中央社)李登輝元総統と妻の曽文恵氏は4日、昨年起きた中国大陸とのサービス貿易
取り決めに反対し立法院(国会)議場を占拠するなどした“太陽花(ひまわり)学生運動”のリー
ダーらと面会した。台湾の現状や民主改革などについて意見交換を行なったとみられる。6日付の
自由時報が伝えた。
面会は、学生運動を支持する曽氏が、李氏の支持団体を通じて学生リーダーの林飛帆氏や黄国昌
氏らと連絡を取り実現。社会運動団体「島国前進」のメンバーも参加した。
関係者によると、李氏は改革に向け法律の改正を進めるべきだと持論を述べ、学生らが具体的な
意見をまとめていることについて評価。一方で、総統制から内閣制への転換については、今後も話
し合いが必要だと語ったという。
また、国民が直接選挙で総統を決めることについて李氏は、民主化の重要な一里塚だったとの見
解を示したとしている。
(編集:齊藤啓介)