すでに台湾は選挙モードに入っていて、与党の民進党は昨年11月末、2期目を終えて立候補できない高雄の陳菊市長などを除く現職の9県市長を公認候補者とすることを発表している。
注目される選挙区の一つが台北市で、国民党は候補者の党内予備選挙を始めていて丁守中・前立法委員などが候補に挙がっている。
台北市長選について、昨年12月に発表された美麗島電子報による世論調査では、現役の柯文哲市長が43.1%、国民党の丁守中氏が28.2%、民進党の姚文智・前立法委員が11.4%。今年2月の台湾世代智庫による世論調査では、柯文哲氏が44.2%、国民党の丁守中氏が26.6%、民進党の姚文智氏が16.1%となっている。
候補者がまだそろっていない状態での世論調査だが、柯文哲市長の支持率が突出して高いことが看て取れる。
柯文哲市長への支持率は中国寄りの発言をしたことで上がったり下がったりで、30%近くに落ちたこともあったが、ユニバーシアード大会のころは60%台に上がるなど一定していないものの、それでも50%前後の支持率を得ている。
2020年の総統選挙への出馬も取り沙汰されていることもあり、与党の民進党としては候補者を擁立するか対応に苦慮しているようだ。
この柯文哲市長の発言をめぐり、李登輝元総統が「頭がおかしい。考えに一貫性がなく、台湾のためにならない」と苦言を呈したという。中央通信社が伝えているので下記に紹介したい。
—————————————————————————————–李登輝氏、台北市長に苦言 中国大陸・トウ小平氏に対する賛同めぐり【中央通信社:2018年3月29日】
(台北 29日 中央社)柯文哲台北市長が今月中旬、中国大陸のトウ小平氏の思想に賛同を示す発言をしたことに対し、李登輝元総統は28日、「頭がおかしい。考えに一貫性がなく、台湾のためにならない」と苦言を呈した。李氏は今月10日の時点では柯氏を支持する意向を表明していたが、考えを改めた格好だ。(トウ=登におおざと)
李氏は10日、柯氏を支持することで与党・民進党は格好がつかなくなるのではと記者から問われると、大いに結構だとし、民進党は「もっと真剣になるべきだ」とハッパを掛けた。だが、28日には立場を変え、柯氏は台北市長として適任かとの質問に「分からない、皆が良いと思うなら投票すればいい」と答えた。
柯氏は今月18日、台北市と新北市のみが専用ごみ袋の販売を通じてごみ処理手数料を徴収する政策を実施していることに言及。政策を台湾全土で一斉に進めるのは困難だとする見方を示し、中国大陸のトウ氏が改革開放の際に、環境が整った一部の人々から先に裕福にしていく先富論を唱えたことには比較的賛同すると述べた。
今年11月末に控えた台北市長選に各党から複数の者が名乗りを上げる中、無所属で再選を目指す柯氏の言動に注目が集まっている。与野党は候補者擁立を模索しており、2014年の前回選挙で柯氏を支援した民進党からは呂秀蓮元副総統などの名が挙がっている。前回選挙で20年ぶりの敗北を喫し、巻き返しを図る国民党からは元立法委員(国会議員)の丁守中氏をはじめ、すでに4人が党内予備選の手続きを進めている。
(呂欣ケイ/編集:楊千慧)