ストライキ(禁食行動)に入ったことを巡り、台湾では多くの人が関心を寄せている。一昨日のメ
ルマガ「台湾の声」がそのことを伝えているので下記にご紹介したい。
林義雄氏はハンスト中はメディアの取材を受けず、外部との連絡もすべて拒否すると表明してい
るため、昨日、馬英九総統が訪問した際にも面会には応じなかった。馬氏は第4原発が安全検査を
クリアした後、国民投票を通じてその未来を決めると約束する手書きのカードを残してきたと報じ
られた。
また、李登輝元総統も深い関心を寄せ、昨日、台南市内で行われた「台湾の第二次民主改革」を
テーマとした講演の際に「林氏と馬総統が面会しなかったことについて『民間と政府が交流
してこそ公民中心の民主社会だ』と述べ、総統の面会に林氏が応じるべきだと指摘した。また、脱
原発後の台湾がどうなるのかを慎重に考えなければならないとの見解を示した」(中央通信社)と
伝えられている。
日本と台湾ではエネルギー政策が違うため一概に比較はできないものの、日本も台湾も石油や天
然ガスの輸入国で、原発を稼働させなければ低コストの電気が供給できないというエネルギー事情
はよく似ている。李元総統が指摘するように、日本も台湾も「脱原発後」がポイントのようだ。
【NEWS】林義雄氏ハンガーストライキ 26日に総統府封鎖 反原発デモ
【台湾の声ニュース:2014年4月22日】
元民進党主席で、「台湾の良心」として尊敬を受けている林義雄氏が本日の午前中、ハンガース
トライキに入った。これは、建設中にトラブルが続いた「第四原発」の建設中止を求めるもの。
また原発廃止運動のネットワークでは、林氏の呼びかけに呼応するとともに、さらに稼動中の原
発の稼動中止を求め26日(土曜日)より、総統府を無期限に包囲する大規模デモを行うとしている。
新北市の貢寮で建設中の第4原発は、建設中にトラブルが続き、福島第1原発事故のニュースが知
れ渡った台湾では国民的な反対運動が起こっている。
去年の3月、行政院長も国民党票で建設を続けるかどうか民意を問いたいとしたが、林氏は現行
の国民投票法は厳しすぎて意味がないと批判している。
林氏のハンガーストライキおよび26日のデモについて民進党や台湾団結聯盟も支援を表明。ま
た、立法院占拠に関わった学生や、蔡丁貴氏率いる公投護台湾聯盟も支持を表明している。
林氏は、立法院占拠のときにも現場を訪れ、学生たちに慕われていた。林氏のハンガーストライ
キは、実は、前もって計画されていたが、立法院占拠行動があったので、延期されていた。
第4原発に関わる国民投票法の特別法案を進めている民進党の蘇貞昌主席は、もし事故が起きた
場合に影響が及ぶ台北市長の[赤β]龍斌と会って「安全が確実であるとわかるまでは、個人として
第4原発に反対」という言葉を引き出すなど、国民党内に揺さぶりをかけている。
今日、林氏がハンガーストライキに入ったのは、台湾基督長老教会に属する義光教会。ここはも
ともと林氏の自宅であったが、林氏が美麗島事件で捕らえられていた、1980年2月28日に、林氏の
母親と、双子の娘が惨殺された現場であり、そこが教会となった。その真相はいまだ究明されてい
ないが、国民党政府によるテロであったことは論を待たない。
林氏は今日、僧である釈昭慧法師および許承道牧師による祈りの後、ハンガーストライキに入っ
た。林氏は1941年生まれの72歳。言葉の端々から、台湾の人々が安全に暮らせるように、命を賭け
る覚悟が出来ていることが窺える。
◆林氏のハンガーストライキの公式ウェブサイト
http://linfast.logdown.com/