日本全国で上映されるが、11月9日現在、上映予定は17館で、上映予定日が決まっているのは下記
の映画館だ。
・福 井:メトロ劇場 (0776-22-1772) 11月22日〜25日
・大 阪:シネ・リーブル梅田(06-6440-5930) 11月26日〜
・青 森:シネマ・ディクト (017-722-2068) 12月10日〜
・鹿児島:ガーデンズシネマ (099-222-8746) 1月14日〜
この映画にはすでに多くの映画評が発表されている。今回は「Record China」で健筆をふるう如
月隼人氏の映画評をご紹介したい。如月氏は「日本人としてこの作品に接すれば、台湾人の日本に
対する感情がありありと伝わってくる」と推薦する。まさに「ありありと伝わってくる」胸に迫る
場面が何度も出てきて、そのたびに目頭が熱くなる。完成度の高いドキュメンタリー映画だ。
全国どこの上映館でも観ることができる「全国共通鑑賞券」を取り扱っているのは日本李登輝友
の会だけです。1,400円+送料です。下記のお申し込みフォームからお願いします。
*当日の岩波ホールでの一般券は1,800円、シニア・学生は1,500円。(ローソンチケット等でも
1,500円で鑑賞券の取り扱いがございますが、岩波ホールのみ鑑賞可能な単館券になります。)
障害者の方は1,400円、小・中・高校生は1,200円、上映最終回に限り大学・大学院・専門学校生
の方も1,200円です。その他劇場の公開情報、当日料金等は『湾生回家』公式ホームページをご
確認ください。
*チケットは、理由の如何を問わず、取替、変更、キャンセルはお受けできませんのでご了承のほ
どお願いします。
● 映画「湾生回家」全国共通鑑賞券のお申し込み
https://goo.gl/pfgzB4
<コラム>台湾映画『湾生回家』、台湾で生まれ引き上げざるをえなかった日本人の物語
【Record China:2016年11月9日】
日本は1895年から1945年まで、50年間にわたって台湾を統治した。その間、台湾で生まれた「日
本人」も多かった。そんな日本人を「湾生」という。字義でも分かるように「台湾で生を受けた
人」という意味だ。
日本の敗戦にともない、「湾生」は日本に引き揚げさせられることになった。その「湾生」が台
湾に「帰省」したときの様子を描いたのが『湾生回家(湾生、家に戻る)』だ。12日に東京の岩波
ホールで公開され、その後は日本各地で順次、上映されるという。
同作品を見て、ハッとさせられることも多い。例えば、早い時期に台湾に移った日本人が、農地
開拓で、いかに苦労したかが紹介される。
日本人は敗戦に伴い、日本に引き揚げてきた。そのため、日本国内に改めて「先祖代々の墓」を
作った人がいる。台湾に最初に渡った人の何人かは、20代で亡くなっている。その後は、長寿を全
うした人もいる。早い時期の台湾での生活が、いかに苛酷であったかを象徴するシーンだ。
生まれ故郷の台湾に出向いて、幼馴染を探す「湾生」たち。しかし、多くがすでに亡くなってい
た。それでも、かつての自分の家の近所の人たちに尋ねて回る。現地の人も、「当たり前のこと」
であるように協力してくれる。
全編を通じて流れる音楽は、日本の唱歌である「ふるさと」だ。同作品は、「民族、あるいは血
筋には関係ない。人にとって、自分が生まれ育った場所は、絶対に忘れられないものだ」と訴えて
いる。
ただ、日本と台湾の関係で言えば、「日本は統治した側、台湾は統治された側」ということは、
厳然たる事実だ。だから「湾生」についても、政治的背景を切り離して考えることはできない。
それでもこの作品は、政治について触れることは避け、あくまでも「時代に運命を翻弄された
『湾生』」を描き切った。
興味深いのは、この作品を手掛けたのが台湾人監督であり、さらに台湾で、ドキュメンタリー映
画としては異例の大ヒットをしたことだ。
多くの台湾人が映画館で涙した。ツイッターやブログで、自分がいかに感動したかをつづった台
湾人も多い。
『湾生回家』は、日本ではこれまであまり知られていなかった、「日本統治時代に、日本の一部
であった台湾で生まれた日本人」のふるさとを思う気持ちをまざまざと伝えてくれる。
同時に、日本人としてこの作品に接すれば、台湾人の日本に対する感情がありありと伝わってく
る。(11月9日寄稿)
■筆者プロフィール:如月隼人
日本では数学とその他の科学分野を勉強したが、何を考えたか北京に留学して民族音楽理論を専
攻。日本に戻ってからは食べるために編集記者を稼業とするようになり、ついのめりこむ。「中国
の空気」を読者の皆様に感じていただきたいとの想いで、「爆発」、「それっ」などのシリーズ記
事を執筆。