この大豆、完熟すれば黄色の豆となるが、未熟な緑色の状態のときに収穫したものが枝豆で、山形の「だだちゃ豆」、新潟の「茶豆」、兵庫の「丹波黒豆」などが有名だ。
日本の収穫量は約70万トン、出荷量は50万トンで、ともに多いのが千葉県で7.5万トン、6.4万トンで日本最大の産地。北海道、埼玉県がそれに続く。
日本は海外からも枝豆を輸入している。農業産業振興機構の調査によれば、2016年の冷凍枝豆の輸入量は約7.5万トンだそうで、なんと台湾からが40.4%ともっとも多く約3万トンに及ぶという。次いでタイからが2万1,000トン(28.7%)、中国1万9,600トン(26.2%)と続く。
日本人が好んで食べる枝豆という身近なところで、台湾としっかり結びついていた。中央通信社が伝える枝豆農家の侯兆百さんの記事を読んで合点がいった。
侯さんは台湾で初めて米経済誌「フォーブス」で紹介された農家だそうで、中国から「莫大な土地と設備手当の提供という好条件を提案されたり、株と引き換えに技術を提供するよう持ち掛けられたりした」という。しかし「『もしこの技術を大陸に持って行ってしまったら、台湾は空っぽになってしまう』と考えた侯さん。『台湾に根を留める』ことに決め、事業の拡大を図った」と報じている。
中国はさまざまな分野で、あの手この手で優良技術を盗み取ろうとしている。枝豆栽培の分野でそれを食い止めたのは、祖国台湾を思う気持ち「台湾愛」だったという。また、自分が作った大粒で甘い枝豆を日本人に食べてもらいたいという思いで、日本向け出荷を続けているそうだ。なんとも嬉しいニュースだ。
—————————————————————————————–日本向け輸出がトップ 枝豆農家「台湾に根」 故郷での発展に力注ぐ【中央通信社:2019年4月7日】http://japan.cna.com.tw/news/asoc/201904070002.aspx
(高雄 7日 中央社)日本の輸入量国別シェアで2017年まで10年連続トップを誇る台湾産枝豆。中部や南部で枝豆農家を営む侯兆百さんは、この道23年。台湾で初めて米経済誌「フォーブス」で紹介された農家だ。富を築き上げた今でも毎日畑に出て、作業に精を出している。
中部・雲林や南部・嘉義、高雄に点在する侯さんの畑の年間生産量は毎年約5000トン。その3分の1が海外に輸出され、日本向けがおよそ6割を占める。畑の年間生産量は家族が営む畑も含めると、台湾全体の約3分の1に達するという。
父親を事故で亡くし、10代後半で枝豆農家を継いだ。畑仕事に勤しみながらその大変さを実感し、機械化を進めることを決意。収穫の効率は上がり、枝豆の品質も向上した。現在は農業のスマート化に力を入れている。
中国への進出を考えたこともあった。莫大な土地と設備手当の提供という好条件を提案されたり、株と引き換えに技術を提供するよう持ち掛けられたりしたが、「もしこの技術を大陸に持って行ってしまったら、台湾は空っぽになってしまう」と考えた侯さん。「台湾に根を留める」ことに決め、事業の拡大を図った。
ふっくらとした枝豆を拾い上げた侯さん。大粒で甘いことが日本人から好まれる理由だと胸を張った。
(王淑芬/編集:楊千慧)