幹事には杉田水脈・衆議院議員や有村治子・衆議院議員、山谷えり子・参議院議員などが就き、和田政宗・参議院議員や中西哲・参議院議員などもメンバーだ。
日本にとって重要な課題として、男系の皇位継承を求めて「皇位継承の安定」、外国資本による土地買収の拡大防止を求めて「外国人の土地取得制限」、そして「スパイ防止法の制定」を目標に掲げている。
昨年は、今上陛下の即位礼正殿の儀が催された翌日の10月23日に記者会見を行って「皇位継承の安定への提言」を表明し、11月19日に安倍首相に手交している。
また、日中関係は正常な関係に戻っていないとして、本年4月に中国の習近平・国家主席を国賓として迎えることに反対しており、来日反対決議文を2度、政府に手交している。
日本の尊厳と国益を護る会は今年に入り、国会が開会して2日目の21日には台湾の総統選挙で蔡英文氏が当選したことを受け、選挙結果を歓迎する声明を発表し、その中で安全保障分野でも日本と台湾が連携を図るべきと訴えているという。
また、3日目の22日には会合を開き、皇位の男系維持や現下の中国などを含む東アジア情勢などについて意見交換したという。
フジテレビ報道局政治部記者の門脇功樹氏は、この会合後、青山代表幹事から「日台の首脳交流は当然必要」という認識を引き出し記事にしている。記事では台湾の選挙結果を歓迎する声明も紹介している。下記に全文を紹介したい。
なお、門脇記者は岸信夫・衆議院議員(自民党日台議連会長)が連続して中国と台湾を訪問したことも1月23日付で記事にしていて、岸議員の「日米台の連携が重要」という発言を紹介している。これもなかなか興味深い記事だ。併せて下記に紹介したい。
◆【独自】安倍首相“実弟”の岸議員が中国・台湾を異例の連続訪問 習主席の国賓来日を前に見 えてきた2020年の対中戦略は「日米台」連携 https://www.fnn.jp/posts/00049910HDK/202001230630_kadowakikouki_HDK
—————————————————————————————– “禁断”の日台首脳会談は「当然必要」と青山繁晴議員 自民保守派が求めた「台湾との政治連携」と「価値観外交」に安倍首相と習主席は門脇功樹(フジテレビ報道局政治部)【FNN PRIME:2020年1月24日】https://www.fnn.jp/posts/00049930HDK/202001240700_kadowakikouki_HDK
◆青山繁晴氏「日台の首脳交流は当然必要」山田宏氏「日台関係が今の状況は不自然」
自民党の保守派議員による「日本の尊厳と国益を護る会」(以下、「護る会」)は22日、会合を開き、皇位の男系維持や現下の中国などを含む東アジア情勢などについて意見交換した。終了後、記者団の取材に応じた代表幹事の青山繁晴参院議員は、日本と台湾(中華民国)の首脳会談が1972年の国交断絶以来行われていないことについて、「個人の意見」と前置きしたうえで次のように述べた。
「日台ともそういう首脳交流は当然必要だと思っている。しかし不意打ちとか出し抜きではなくて、中国は当然強く反発してくるだろうけれども、中国側と意見は十分交換した上で。首脳交流が必要って、正式な外交関係がなかったら首脳交流なくていいんだというのは話が逆さまなので。北朝鮮についても総理は前提条件なしで首脳交流、会談したいといっているから、台湾についても全く同じだ」
青山氏は、日台首脳会談について、中国と意見交換はした上で、前提条件なく行うことは可能だという認識を示した。中国の習近平国家主席の国賓としての来日が迫る中で、日台の連携は重要だという考えなのだろう。
また「護る会」の山田宏参院議員は、反日感情をむき出しにする韓国と台湾の比較を念頭に、同盟国の在り方についてこのように語った。
「我々としては今の中で、同盟と言いながら日本を侮辱することを続けている国が同盟国で、日本を信頼しお互いが尊敬しあっている台湾との関係が今の状況というのは不自然な感じはする」
このように、親日感情の強い台湾との関係が、民間レベルにとどまっている現状への疑問を投げかけた。
◆「護る会」は台湾との間での「価値観外交」の進展を主張
その台湾で、独立志向を有する民進党の蔡英文総統が再選したことを受けて、護る会は21日、選挙結果を歓迎する声明を出した。中身は抜粋すると以下の通りだ。
「中国の独裁的・強制的政治手法が、香港やウイグル、チベット、南モンゴルの現状によって世界中の人々に広く認知されるに至った今、台湾が示した選挙結果の意味は限りなく大きい」
「我が国が進めてきた価値観を同じくする国々との連携、いわゆる『価値観外交』は、近隣諸国の中では台湾との連携こそ、その理念に最も合致する。今までの日台関係は経済的・人的・文化的交流に限られていたが、これからは米国を交えた政治的・安全保障分野を含む、『価値観外交』を台湾との間においても進展させるべきである」
注目すべきは、米国を交えつつ台湾との間で政治・安保分野を含む「価値観外交」を進展させるという部分だ。日本と中国の国交正常化に伴い、日本と台湾が断交して以来、日台の政治交流は非公式なものにとどまってきた。
山田議員によると、安全保障分野については「制服(組)同士の交流すらできていない」という。しかし昨今は、東シナ海や南シナ海における中国の海洋進出が激しくなり、日本の安全保障上の懸念は高まりつつある。そうした中で、今回の「護る会」の声明では、安全保障分野でも日本と台湾が連携を図るべきと訴えたのだ。
◆“中国の習主席、国賓来日には断固反対“深刻な人権弾圧の改善を求める
護る会の声明は、最後に習主席の国賓来日について「現状のままでの国賓来日には断固反対する」という文言で締めくくられた。
その前段では「自由・民主主義・人権・法の支配等において、我が国と中国が現状で共有できる価値観は極めて限定的である。尖閣諸島への領海侵入、邦人拘束事案などが解決し、香港、ウイグル、チベット、南モンゴルへの深刻な人権弾圧が改善されてはじめて、習近平国家主席の来日が歓迎されることになる」と断じた。
ただ現実的には、習主席の国賓来日は、昨年のG20大阪サミットで、安倍首相が習主席に対し打診し、習主席も応じたものであり、国賓待遇を取り下げるのは国と国の約束を破ることになるので難しいだろう。安倍首相としても、中国の抱える人権問題や尖閣諸島をめぐる挑発行動などは問題視した上で、戦略的に対中関係改善を図っている部分が大きい。
そうした中で、安倍首相が台湾の総統との会談を行う、あるいは検討するだけでも中国の猛反発は必至なだけに、中国との関係改善を図る現状においては、日台首脳会談が開かれる可能性は限りなくゼロに近い。
だとすれば今後は安倍首相が、来日した習主席に対して、自民党内には「護る会」などの中国に対する厳しい声や台湾との政治的連携を模索すべきだとする主張があることも中国側へのいわばカードにしながら、自由・民主主義・人権をめぐる数々の懸念点や、日本の国益に関わる主張をしっかりと伝えることができるかが重要になりそうだ。