文科省後援「地理五輪」ポスターが台湾を中国領土と誤記!

北方領土をロシア領と誤記したポスターは作り直し

 今朝の産経新聞1面トップの記事を見て驚いた。縦見出しがゴチック文字で「北方領土
『ロシア領』と表記」、横見出しもゴチックで「文科省後援『地理五輪』ポスター」とい
うド派手な文字に、北方領土を中心に描くポスターの写真。否が応でも目に飛び込んでき
た。

 地理オリンピックなのになんと不見識なと思いつつ記事を読んでいると、さらに驚かさ
れた。なんと「日本政府が中国領土と承認していない台湾についても中国領土に色分けさ
れていた」とある。本会にとっては捨て置けない問題だ。

 ポスターを製作した国際地理オリンピック日本委員会の実行委員会は、産経新聞からの
指摘で作り直すことにしたという。

 記事は3年前の平成20年1月に発覚した「地球儀問題」にも言及している。このときの最
初の報道は「夕刊フジ」で、次は産経新聞だった。

 地球儀問題とは、学研トイズが販売する地球儀「スマートグローブ」が、中国政府の指
示により、台湾を「台湾島」と表記し、音声案内では「中華人民共和国」としていたこと
が報道で発覚、続出する抗議の声に販売中止や回収措置を行い、学研トイズが解散に追い
込まれた問題をいうが、本会は「台湾は中国領ではない!! 2・3『偽造地図を追放せよ!』
緊急国民集会」を開いて、その決議文を当時の福田首相や高村外相に送っている。

 このとき、台北駐日経済文化代表処は学研トイズに対して正面から堂々と販売中止を要
求し、「台湾は中華人民共和国とは別の主権国家であり、まさに御社の行為は台湾に対す
る主権侵害の加担にほかなりません」という書面を送ったことは今でも記憶に新しい。

 記事が伝えるように、地理オリンピックのポスターが台湾を中国領と表記しているなら、
これは地球儀問題とまったく同じで、この誤記は訂正させねばならない。記事では、北方
領土に関して実行委は「不適切」と判断して作り直すことを伝えているものの、台湾の表
記をどう判断しているかについいては触れられていない。

 まさか「日本政府が中国領土と承認していない台湾についても中国領土に色分け」した
ままで作り直しに取り掛かっていたとしたら、これは大問題だ。台湾正名運動を勧める本
会として、早急に確認して対応したい。確認した結果は本誌でお伝えする。

 なお、この問題は今後「地理オリンピックポスター問題」と称したい。問い合わせ先は
下記の通りだ。

◆地理オリンピックポスター問題:問い合せ先
  〒192-0081 東京都八王子市横山町10−2八王子SIAビル2F
  (株)教育ソフトウエア内 科学オリンピック共通事務局
  TEL:042-649-9603 *月・金:12:00〜13:00 17:00〜19:00(祝日除く)
E-mail:info@is-cont2011.com

◆国際地理オリンピック日本委員会
http://www2.dokkyo.ac.jp/~rese0012/


北方領土「ロシア領」と表記 文科省後援「地理五輪」ポスター
【産経新聞:平成23年(2011年)9月30日】
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110930/plc11093006480005-n1.htm
*写真:問題のポスター。北方領土がロシア領を示すオレンジ色で塗られている

 高校生らを対象に地理に関する知識や思考力を競う国際大会「国際地理オリンピック」
の募集ポスターで、北方領土を「ロシア領」と表記した地球儀の写真が使われていること
が29日、分かった。産経新聞の指摘を受けた大会側はポスターを作り直す方針を固めたが、
大会は文部科学省も後援しており、識者からは「日本政府が間接的にロシア領と認めたに
等しく、国益を大きく損なう事態だ」と批判の声が出ている。

 問題のポスターは、各国別に色分けされた地球儀の写真が掲載され、国後島や択捉島な
どの北方領土が、ロシア領を示すオレンジ色で塗られていた。また日本の地理の教科書で
は、帰属先が未定として白表記になっている南樺太もロシア領と表記。さらに日本政府が
中国領土と承認していない台湾についても中国領土に色分けされていた。

 このポスターは、来夏にドイツ・ケルンで開かれる第9回大会の国内予選を兼ねた「科
学地理オリンピック日本選手権2012」への応募を呼びかけるもので、大会を主催する国際
地理オリンピック日本委員会の実行委員会が1万2千部を製作。30日から全国の高校など約
3200校に配布されることになっていた。

 しかし、産経新聞の指摘を受け、実行委は「不適切」と判断し、急遽(きゅうきょ)、
発送作業を中止。デザインを全面的に差し替え、作り直すことにしたという。

 関係者によると、ポスターは大会を協賛する出版社が製作。製作費の約100万円は全額、
共催する独立行政法人科学技術振興機構が社団法人日本地理学会を通じて負担した。

 実行委員長を務める筑波大大学院の井田仁康教授は、産経新聞の取材に「図案では小さ
く気づかなかった。意図的ではない」と釈明。文科省はポスターの存在を把握していなか
ったといい、担当者は「今後、後援事業のチェック態勢の見直しを検討したい」とした。

 高崎経済大の八木秀次教授(憲法学)は「教育現場に配布されていたら、公教育の場で
北方領土はロシア領と認めたことになっていた」と話している。

◆国家の基本 意識希薄

 「国際地理オリンピック」の募集ポスターで日本固有の領土である北方領土をロシア領
と「誤記」した問題で、大会関係者は一様に「単純ミス」と強調したが、その背景に領土
問題に対する意識の希薄さを指摘する声も上がった。

 国際地理オリンピックは1996年から隔年で開催されている地理の国際競技。記憶力より
思考力が問われる問題が中心で、出題も回答も英語のため、「高いレベルの学力が求めら
れる」(関係者)。昨年台湾で開かれた前回大会には28の国と地域が参加した。

 そんな地理専門の国際大会の募集ポスターでの北方領土などの誤記。大会実行委は中学
や高校の地理教員、大学教授、文科省教育政策研究所の調査官ら68人で構成され、このう
ち10人以上がポスターの製作に携わったというが、この「重大なミス」に誰も気づくこと
はなかった。

 実行委員長を務める筑波大大学院の井田仁康教授は「外国が作った地球儀だと思うが、
注意が足りなかった」と釈明した。

 地球儀関係の問題をめぐっては、平成20年に学習教材大手「学研」グループが国内向け
に販売する地球儀で、中国政府から圧力を受け、台湾を単なる「台湾島」と表記していた
ことが発覚。同社は「不適切だった」として販売を中止したほか、玩具大手の「タカラト
ミー」も「台湾島」と表記していた地球儀の販売を中止する問題も起きた。

 青山学院大の袴田茂樹教授(現代ロシア論)は誤記について、「教育現場でも領土など
国家の基本的な問題への意識の希薄さが蔓延(まんえん)していることの表れではない
か」と指摘している。



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