とう台湾・がんばれ東日本慈善演奏会」を台湾の台中市中山堂で開催した。
台中市内にある東海大学に留学中の藤倉聡子(ふじくら・さとこ)さんは、台中在住の喜早天海
氏(日本と台湾の懸け橋になる会世話人)の呼びかけでスタッフとしてお手伝いし、喜早氏の求め
に応じてこのチャリティー・コンサートの様子を伝えている。
宮城県出身の藤倉さんは、東日本大震災の被災者でもある。ふるさとに思いを馳せつつつづられ
たレポートにホロリとさせられた。
ちなみに、藤倉さんは昨日から始まった「第21回日本李登輝学校台湾研修団」でもスタッフとし
てお手伝いいただいており、後日、機関誌「日台共栄」6月号に研修団レポートを執筆の予定だ。
志を果たして いつの日にか帰らん
【メルマガ「遥かなり台湾」:2014年5月8日】
4月1日の夜に行われたチャリティーコンサートは、台中に住んでいる大学生、家庭主婦、定年退
職者など日台双方の人たちがボランティアや観客動員などに協力してくれてコンサートを陰で支え
てくれました。その中の一人で、現地の大学に留学している女子大生に当日の感想などをお願いし
たところ快く引き受けてくれました。本日はそれを皆さんに紹介したいと思います。
◇ ◇ ◇
「ありがとう台湾」「がんばれ東日本」チャリティーコンサート
東海大学政治学部1年 藤倉 聡子
2014年4月1日に台中の中山堂で素敵なチャリティーコンサートが開かれました。コンサートの
テーマとして2つのことがあります。それは「ありがとう台湾」「がんばれ東日本」です。
前者は、昨年5月9日に神奈川県座間市で行われた「台湾高座会流日70周年歓迎大会」の剰余金を
使って、台湾の方に3年前に起きた大震災への支援に対する謝意を表したいということから始まっ
た企画です。
後者は、前者の概要を台湾高座会に伝えたところ、趣旨には大賛成だが自分たちはそれを受ける
だけでなく、第二の故郷である日本にさらなる激励のメッセージを送りたいということで企画され
たものです。
東日本大震災3周年に当たり、世界一の支援をしてくれた台湾に感謝の「ありがとう台湾」、東
日本の被災地にさらなる激励のエールを送る「がんばれ東日本」、この2つの実行委員会が主とな
り今回のコンサートが実現しました。
私は当日、ボランティアのスタッフとして会場に入っていました。お客さんの層は実に幅広く、
子供連れの家族や大学生、また高座会のお年寄りの方などがいらっしゃっていました。コンサート
が目的で組まれた日本からのツアーもあり、会場はほぼ満席の状態での開演でした。
プロローグとして、NHKで放送された動画が会場2つのスクリーンに映し出されました。それ
は被災者である高校生が現在の心境と将来への希望を話しているものでした。
個人的な話となりますが、私は宮城県の仙台から留学しに来ました。私も3年前にあの大地震を
経験しましたので、このスピーチしている学生の気持ちが痛いほどわかりました。
続いて、実行委員長の石川公弘さんのご挨拶があり、石川さんが私の気持ちを代弁して台湾の
方々に伝えてくださった気がしました。
そして、プログラム3番目に「ふるさと」の曲がありました。私はこのとき、台湾で聞く日本の
童謡にとても感動しました。「忘れ難き故郷」「志を果たして いつの日にか帰らん」との歌詞が
ありますが、震災で被害を受けたふるさとを離れて異郷にいる今の自分とリンクして思わず涙しま
した。
合唱団は、福島県南相馬市と周辺地区の中高生を中心に結成されたMJCアンサンブルの皆さん
だということで、どのような気持ちで歌っているのだろうと聴きながら思っていましたが、私と同
じく故郷に思いを寄せているのだと感じました。
また、私は同じ大学の同級生2人を連れてきていたのですが、私が耐えられず涙を流す姿を見
て、そのうちの1人が「あなたの気持ち、分かっているよ」というような顔で頷いてくれて、とて
も温かい気持ちになりました。
私は基本スタッフとして会場のサポート行っていたので、始めと終わりの演奏しか聞けませんで
した。
しかし、一番最後に歌われた日本の復興支援ソング「花は咲く」を聞くことができたのは非常に
幸せなことでした。優雅なピアノの前奏から始まるこの曲が最後にそのやさしい歌詞と歌声で会場
を包み込んでくれました。私はこの一曲が終わった瞬間「ああ、この曲がこの先ずっと歌い継がれ
る限り、日本と台湾の関係は素晴らしいものであり続けるはずだ」、そう思いました。
コンサートが閉幕し、お客さんが三々五々お帰りになっていくのをお見送りしたのですが、私の
挨拶に対して「ありがとうね」と返してくださった方たちの笑顔がとても素敵で印象に残っていま
す。
このコンサートの模様は翌日NHKでも放送され、全国に日台の絆が今回また一段と強くなった
ということが報道されました。被災地の方々にもこの思いが少しでも届いていたら同じ被災者とし
てこれ以上の喜びはありません。
私は今回、このコンサートをサポートできたことを心から嬉しく思います。「志を果たして い
つの日にか帰らん」、これから続く留学生活を実り豊かなものにし、いつの日にか故郷に微力なが
らも還元できるようにこれからも精一杯励んでいきます。