ション作家の平野久美子さんが文芸春秋のオピニオン誌、月刊「諸君!」4月号(2月28日
発売)に「映画『海角七号』に、台湾の人々はなぜ涙するのか」と題して重厚なレポート
執筆している。
平野さんといえば、台湾関係者には『トオサンの桜−散りゆく台湾の中の日本』(小学
館)や屏東に地下ダムを建設した鳥居信平の発掘者としてよく知られているが、今回は台
湾で大ヒットした「海角七号」だ。
魏徳聖監督へのインタビューをはじめ、「湾生」たちの台湾引き揚げについて多くを割
いている。映画で日本人の青年教師と恋仲になった教え子の台湾人女性が引き離されるよ
うになったのは、この引き揚げだったからだ。
なぜ「台湾の各地、各港では他の占領地ならおよそ考えられぬ惜別の光景が展開」した
のか、「なぜだろう? 台湾人は、日本統治時代『本島人』と呼ばれ、二等国民として差
別を受けたのに……」という平野さんの疑問に、湾生たちが答える。
登場する湾生は、三宅教雄さん(本会理事)、中村信子さん、力丸研二さん、平井輝男
さん、高野秀夫さんなどだ。台湾で生まれたことに誇りを持つ湾生の、望郷の念にあふれ
るその「答え」に、深くうなずきつつ思わず涙してしまった。映画の背景がよく理解でき
るのである。
魏徳聖監督へのインタビューでは、日本人の青年教師が教え子に送ったラブレターのヒ
ントは、実際に「日本から戦前の番地宛に送られた未配達の手紙」があったというニュー
スだったエピソードや映画のモチーフが語られる。もっとも訴えたかったのは……。
それを平野さんは「魏徳聖監督の言葉からは歴史を未来に活かそうという自覚や、芸術
や文化を通して和諧の手段をさぐろうという熱意が伝わってくる」と伝えている。「和諧」
とはあまり聞きなれない言葉だが、「やわらぎ調和すること」を意味する。諧は「かなう」
と読む。
突飛なようだが、聖徳太子の十七条憲法の「和を以て貴しとし」で始まる第1条に「上
和(やわら)ぎ下睦(むつ)びて、事を論(あげつら)ふに諧(かな)ふときは、事理自
ずから通ふ」とあるのを思い出した。
平野さんはこの映画を作った理由について、魏監督が「政治からこぼれ落ちた一人ひと
りの内面をすくいあげたかった」と述べていることも紹介している。台湾でヒットした理
由が分かりそうな気がするのは筆者ばかりではないだろう。
「和をもって尊し」とする日本で公開されたなら、日本人にも分かる映画のようだ。本
会の試写会に来られる方は、ぜひこの平野久美子さんの一文を読んでから来ていただけれ
ば、より深く豊かな思いでこの映画を観ることができること請け合いだ。 (編集部)
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