う・しんぺい)、その後藤に誘われて台湾糖業発展の基礎を築いた盛岡の新渡戸稲造(にとべ・い
なぞう)、台北帝国大学医学部長と同大総長をつとめた盛岡の三田定則(みた・さだのり)、台湾
総督府雇員として台湾全土を調査し『台湾藩政志』や『台湾文化志』を残した遠野の伊能嘉矩(い
のう・かのり)など、台湾の発展に尽力した岩手県人が少なくない。
こういう歴史を背負った岩手県が現在、台湾との交流に熱が入っている。達増拓也(たっそ・た
くや)知事は毎年、台湾に足を運び、花巻空港へのチャーター便と定期便の運航を要請するなど、
足の確保に努めている。
また、6月に入ってから県南広域振興局は、台湾からの誘客拡大につなげようと、繁体字表記の
観光パンフレットを作製した。また、この21日からは台湾からの高校生の教育旅行の誘致活動を行
うという。
ただ、気になるのは、台湾から教育旅行を呼び込むのもいいが、岩手県から台湾へ修学旅行に行
く高校が少ないことだ。全国修学旅行研究協会の調査によれば、2015年度は公立高校が1校、私立
が2校の3校、113人しかいない。東北6県の中でも最下位だ。13万8,097人、790校が実施している台
湾修学旅行で、徳島県(40人、1校)、高知県(50人、2校)、香川県(60人、3校)に次ぐ低さだ。
同じく台湾への修学旅行や台湾からの教育旅行に力を入れている千葉県は6,475人、27校となっ
ている。四国4県のうち3県がワースト3を占める中、台湾との交流に熱心な中村時広(なかむら・
ときひろ)知事の愛媛県は353人、18校と踏ん張っている。中村知事らの地道な働きかけでチャー
ター便の運航からはじめてようやく定期便化に漕ぎつけてもいる。
修学旅行も教育旅行も国際交流である以上、相互交流として成り立っている部分が少なくない。
一方的に呼び寄せようとしても難しい。チャーター便や定期便も相互交流だ。岩手県から台湾を訪
れる人々が多くなければ、実現に漕ぎつけるのはかなり難しい。
岩手県の地道な努力が報われることを願ってはいるが、まずは岩手の人々が台湾に関心を深め、
台湾を訪問する機会が増えるような抜本的な見直しが必要なのではないだろうか。
台湾の教育旅行を県南へ 現地で初の誘致活動
【岩手日報:2017年6月21日】
県南広域振興局(細川倫史局長)と管内の高校、民泊関係者は21〜23日、台湾で高校生の教育旅
行の誘致活動を行う。現地の教員との商談会に参加するなど初の試みで、豊かな自然や文化が根付
く県南地域の魅力をアピール。台湾からの観光客は年々増えており、教育旅行の需要も取り込むこ
とで、リピーターの獲得と生徒の国際交流の拡大を目指す。
訪問団は同振興局のほか、奥州市の水沢一高と市商業観光課、遠野市の遠野高と認定NPO法人
遠野山・里・暮らしネットワークから計6人が参加する。
21日は、日本政府観光局が台中市で開く訪日教育旅行説明会・商談会に参加。日本から全国59団
体、同市の高校教員約80人が参加して情報交換する。
台湾の教育旅行は日本の修学旅行と違い、参加者を募り、現地の学校での交流が主となる。ホー
ムステイや民泊の希望も多い。訪問団は、管内高校での国際交流事例や地域の受け入れ態勢などを
紹介。郷土芸能や伝統食などを生かした多彩な体験学習、沿岸での防災教育を組み合わせたルート
も提案する。