消し、代わりに新北市長で主席の朱立倫氏を指名するという極めて異例のことで、前代未聞の荒業
をやってのけた。
ところが、候補となった朱立倫氏は新北市長を10月20日から3ヵ月休職し、副市長に職務を代行
させて総統選挙を戦うと発表した。
朱氏はその理由を「新北市長の座を手放さないで総統選に出馬する私のことを、(選挙戦への)
決意が足りないと批判する人がいるかもしれないが、過去または現在、海外または国内において、
従来の職務を辞めず選挙に立候補するのは通例だ」(台湾国際放送)と述べている。
開き直った発言とも言えるが、休職措置は、中国国民党の最高責任者である主席として総統選に
出ざるを得ない立場に追い込まれ、迷いながらもイヤイヤ引き受けたことをよく現しているよう
だ。
台湾の人々は朱氏の出馬をどう見ているか。
国民党の臨時党大会直前に発表した大手テレビ局TVBSによる世論調査では、民進党候補の蔡
英文氏の支持率48%に対し朱氏は29%で19ポイントの差だったが、下記の産経新聞が伝えるよう
に、両岸政策協会が10月18日に公表した世論調査によると、蔡英文氏の支持率45・2%、朱氏の支
持率は21・9%に下がり、その差は23・3ポイントに広がっている。
台湾総統選:国民党、朱氏は市長辞任せず出馬へ 敗れてもポスト確保の“安全策”
【産経新聞:2015年10月19日】
【台北=田中靖人】台湾の与党、中国国民党の新たな総統選候補者となった朱立倫主席(54)は
19日、新北市長を辞職せずに総統選に出馬する方針を決め、市に休職を届け出た。
人口の約7割を占める6直轄市のうち、国民党籍の市長は朱氏1人だけ。辞職して総統選に臨んだ
場合、補欠選で市長ポストを失う恐れがあるため安全策をとった形だが、朱氏は総統選に敗れても
市長に戻れるため、有権者に出馬の覚悟を疑われる可能性がある。
朱氏はこの日、「兼職で出馬するのは内外でも、過去から現在に至るまで一般的なことだ」と強
調した。一方、野党、民主進歩党の報道官は「自分と党のことだけを考え、市民のことを考えてい
ない」と批判した。
研究者らで作る「両岸政策協会」が18日に公表した世論調査によると、野党、民主進歩党の候補
者、蔡英文主席(59)の支持率45・2%に対し、朱氏は21・9%だった。