【2月6日 毎日新聞】
【台北・庄司哲也】台湾で歴史教科書問題が持ち上がっている。旧正月(18日)明けか
ら始まる新学期に合わせて高校の歴史教科書が改訂され、これまで中国を「本国」「わが
国」などと呼んでいた表現を改めるなど、「中国離れ」を反映した内容となっている。台
湾で「国父」とされてきた孫文についても「国父」や「先生」の敬称での記述を取りやめ
ており、孫文を党の創設者とする最大野党国民党は「歴史をわい曲し、思想統制を行って
いる」と強く反発している。
新しい歴史教科書は、「中国史」と「台湾史」を完全に分離し、中国は「中国」、台湾
は「台湾」と呼んでいる。中国側の見方に立った歴史観も排除し、「秦の始皇帝が他の6
国を滅ぼし、天下を統一した」という記述も「秦の始皇帝が他の6国を併合した」と改め
た。
また、孫文が起こした辛亥革命(1911年)の幕開けとなった武装蜂起「武昌起義」も、
正義の意味を表す「起義」をやめ、「武昌起事」という主観を排除した言葉で記述して
いる。
新しい教科書は、独立志向の陳水扁政権が推進する「脱中国化」を反映していると言え
る。
国民党の創設者である孫文の敬称が省かれたことについて、同党の馬英九主席は、抗議
声明を発表し、杜正勝(とせいしょう)教育部長(教育相)を名指しで批判した。