況を視察するために内政部消防署の陳文龍・副署長および防災専門家ら一行6人をともなっ
て来日した。台湾の現職内政部長が日本を訪問するのは今回が初めてだという。
そのうえ「李部長一行は、日本滞在中に東京都、京都府、兵庫県を訪れ、古屋圭司・防
災担当大臣、鶴保庸介・国土交通副大臣および京都府知事、兵庫県知事、東京都副知事ら
を表敬訪問」(台湾週報)したという。
内政部長という重要閣僚が日本を訪問し、日本の閣僚と懇談するというのは異例のこと
だろう。いかに防災という実務レベルのことにしても、日台の現役大臣同士の話し合いが
オープンになったのは初めてなのではないか。
すると今度は、亜東関係協会の李嘉進会長が来日中に菅義偉・官房長官と会ったとい
う。NHKニュースが伝えているので下記に掲載するが、ニュースでも伝えているよう
に、亜東関係協会のトップが日本の現職の主要閣僚と会うのは初めてだという。
古屋圭司大臣はこれまで毎年のごとく訪台している親台派議員で、経済産業副大臣のと
きは中川昭一・経済産業省大臣の名代として副大臣の立場で訪台したことがある。また菅
官房長官は自民党が野に下っていた一昨年、安倍晋三前総理とともに台湾安保協会のシン
ポジウムに招かれ、安倍氏とともに挨拶し、李登輝元総統にもお会いしている。台湾への
理解は深い。
NHKニュースは「日本との関係強化を目指す台湾の積極姿勢がうかがえます」と結ん
でいるが、これはやはり安倍内閣だから実現した「異例の事態」だろう。台湾がいくら積
極的でも、受け入れるかどうかは日本側の問題だからだ。
これまで第一次安倍内閣を含め、日本と台湾が国交を断絶して以来40年、日本の内閣は
「台湾政策」を打ちだしたことがない。いつも「中国政策」の裏に隠れていた。だから、
中国に対して台湾を「外交カード」として使うこともなかった。
だが、第二次安倍内閣はこれまでとまったく趣を異にしている。4月10日に結ばれた「日
台民間漁業取決め」は安倍総理が主導して締結したのをはじめとして、岸田文雄外務大臣
の「台湾は基本的価値観を共有する重要なパートナー」発言、そして今回の内政部長と日
本の閣僚との懇談、亜東関係協会会長の官房長官訪問というレベルアップも、安倍内閣の
「台湾政策」の発露とみていいだろう。
台湾の対日窓口トップ 菅長官と面会
【NHKニュース:2013年8月10日】
沖縄県の尖閣諸島を巡って日中関係が冷え込むなかで、台湾の日本との窓口機関のトッ
プが、今週日本を訪問した際、菅官房長官と面会したことが分かり、主要閣僚との異例の
面会からは日本との関係強化を目指す台湾の積極姿勢がうかがえます。
これは、台湾の日本との窓口機関「亜東関係協会」のトップ、李嘉進会長が9日、NHK
の単独取材に明らかにしました。
李会長は、今月4日から9日まで日本を訪問し、8日、総理大臣官邸で菅官房長官と面会し
たということです。
亜東関係協会は、日本と台湾の外交関係が絶たれた1972年に設立され、窓口機関として
実質的に台湾の対日外交を担っていますが、そのトップが日本の現職の主要閣僚と会うの
は初めてだとしています。
李会長は短い時間の表敬訪問だったとしたうえで「面会は非常に積極的なものだった」
と述べて意義を強調しました。
台湾は中国と同様、沖縄県の尖閣諸島の領有権を主張していますが、中国とは連携しな
い立場で、ことし4月に島の周辺海域を対象にした日本との漁業の取り決めが双方の窓口機
関の間で結ばれました。尖閣諸島を巡って日本と中国の関係が冷え込むなかでの今回の異
例の面会からは、日本との関係強化を目指す台湾の積極姿勢がうかがえます。