き、「新南向政策」の下での経済貿易関係発展のチャンスについて話し合ったという。また、「民
間の経済団体による台湾・フィリピン経済合同会議は過去4年間中断されていたが、今年再開さ
れ、フィリピンから約10の商業団体が台湾にやってきて、台湾のビジネス界との連絡ルートを再び
整えると明らかにした」(台湾国際放送)と伝えられている。
中国依存からの脱出をはかる新南向政策が少しずつ浸透している蔡英文政権にとっての「追い
風」はなんといっても景気の復調だが、行政院が10月28日に発表した2016年7〜9月期の実質域内総
生産(GDP、速報値)は前年同期比2.06%増となり、日本経済新聞が「台湾経済の復調鮮明」と
見出しをつけて伝えている。
ただ、この景気回復は「7〜9月期の対中輸出は4.3%増え、回復を主導」したそうで、まだ中国
依存体質からの脱却には時間がかかるようだ。
台湾経済の復調鮮明 7〜9月成長率2%超、中国依存なお
【日本経済新聞:2016年10月28日】
【香港=伊原健作】台湾経済の復調が鮮明になってきた。行政院(内閣)が28日発表した2016年
7〜9月期の実質域内総生産(GDP、速報値)は前年同期比2.06%増となり、6四半期ぶりに2%を
超えた。スマートフォン(スマホ)需要を取り込む半導体の輸出がけん引している。ただ中国への
輸出頼みの構図は深まり、脱・中国依存を目指す蔡英文政権には課題が山積している。
成長率は8月時点の予想(1.99%)を上回った。前期比年率(季節調整済み)では4.54%。企業
の増産投資が堅調で、投資や在庫を含む資本形成は3.24%増。民間消費も2.37%増えた。
台湾は16年1〜3月期まで3四半期連続でマイナス成長だった。7〜9月期の対中輸出は4.3%増え、
回復を主導。現地で中低価格スマホの需要が伸び、高い技術力を生かして台湾企業が部品供給を伸
ばしている。
景気復調は蔡政権に追い風だ。代表的な株価指数は5月の政権発足前に比べ約15%上昇。ただ中
台統一を目指し、台湾への影響力を強める中国への依存軽減が蔡政権の最重要課題だ。7〜9月期の
輸出は中国向けが全体の40.5%を占めた。前年同期比1.6ポイント上昇し、回復を素直に喜びにく
い側面もある。
蔡政権は9月、東南アジアとの経済連携を強化する「新南向政策」の具体的な推進計画を発表し
た。インドネシアやインドなど南方のアジア諸国と投資や貿易、医療などの分野で連携を強化し、
最終的には自由貿易協定(FTA)の締結を目指す。
ただ、この地域は中国が主導する陸と海の現代版シルクロード構想「一帯一路」の舞台だ。東南
アジア各国が台湾より中国との連携を優先する可能性もあり、蔡政権の狙いが実を結ぶかは不透明
だ。