台湾政府の「92年のコンセンサス」問題に関する立場の説明

【11月5日 台湾週報】

 「92年のコンセンサス」問題が最近多くの論争を引き起こしているため、行政院大陸
委員会は以下の立場を表明する。

一、台湾海峡両岸間に「92年のコンセンサス」は存在しない

 いわゆる「92年のコンセンサス」とは、2000年に蘇起(元行政院大陸委員会主任委員)
氏によって創作された新名詞であり、これは1992年の香港会談において「一つの中国の
解釈をそれぞれが表明する」というコンセンサスを達成したと認識されるもので、「92
年のコンセンサス」と呼ばれている。しかし、これは全く事実に基づいていないのであ
る。事実、1992年10月の香港会談において両岸は「争議を先送りし、実務的に話し合い、
お互いを尊重する」という姿勢で、両岸間の交流において発生する初期的な各種事務的
問題を共に解決するために話し合った。会談の中では「一つの中国」問題についても触
れられたが、いわゆる「一つの中国の解釈をそれぞれが表明する」や、「一つの中国」
原則に基づく「92年のコンセンサス」は達成されることはなかった。香港会談の中では
事務的、技術的な問題が議論されたが、中国は始めから政治性の高い「一つの中国」問
題を持ち出し、「一つの中国」の枠組みを両岸協議のモデルにしようと企図し、その後
自己で定義付けを行い、1992年の香港会談の結果を「一つの中国の原則」のコンセンサ
スが達成されたと解釈した。同時に中国による定義の下においては、そもそも「一つの
中国の解釈をそれぞれが表明する」という空間はなかったのである。このことから「一
つの中国」原則は中国が設定した対台湾政策の戦略的枠組みとなり、両岸交流および国
際社会での活動における各方面において十分に運用されてきた。「一つの中国」原則は
きわめて抽象的であるが、具体的な運用時においては台湾に数々の制限を与え、手足を
縛るものとなっている。

二、国家の主権在民を堅持

 台湾は主権独立国家であり、台湾海峡のいかなる現状の変更においても必ず台湾2,300
万人の同意を得なければならない。これは台湾の民意の主流であり、政府の両岸政策の
核心である。わが国政府は、中国が一方的に「一つの中国」を原則とする両岸の定義を
決して受け入れない。また、これを前提とする枠組みの下でいかなる対等でない方式に
よる両岸関係の発展も絶対に受け入れない。

三、両岸関係は対等、互恵、平和、尊厳の原則の下で進行すべき

 中国側は台湾の民意の発展を尊重せず、引き続き両岸間の各種協力事項において「一
つの中国」の枠組みという対話の障害を設け、国民によって選ばれたわが政府との正式
な対話を避けようとしている。これは対等と尊厳の原則に合致しない上に、平和と発展
の潮流にも背くものである。中国は口では、わが国と話し合い、敵対状態を解除して平
和協定を締結したいと言っているが、依然としてわが国に対する武力による威嚇を放棄
せず、さらには「反国家分裂法」を設けて、台湾を消滅させるためにさまざまな罠を企
み、受け入れさせようと誘導している。今後、台湾政府は国家利益と国民の要求に基づ
いて、両岸の各関心テーマについて実務的、積極的に引き続き中国当局がわが国政府と
の対話、協議を行うよう促し、両岸の平和と安定の協力体制を構築し、両岸関係を正常
化する方向に発展させてゆくものである。

                      【行政院大陸委員会 2007年11月2日】


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