下記に紹介する日本経済新聞によれば「7月26日までに98社からの投資申請を許可し、累計4973億台湾ドル(約1兆7300億円)に達した」という。予想よりかなり早いスピードで、それも多くの企業の台湾回帰が進んでいるようだ。
—————————————————————————————–台湾、中国から生産回帰支援 投資申請1.7兆円 【日本経済新聞:2019年7月29日】
台湾の蔡英文政権が中国に渡った製造業を地元に引き戻す施策に力を入れている。米中貿易摩擦を受け中国からの生産シフトを探る動きが目立つのを奇貨として、台湾の産業振興を進める。2020年1月の次期総統選での再選に向け実績を積み上げる狙いも透ける。
19年1月に中国からの投資回帰を呼び込む専門窓口を設け「歓迎台商回台投資行動方案」と呼ぶ投資優遇策の運用を始めた。7月26日までに98社からの投資申請を許可し、累計4973億台湾ドル(約1兆7300億円)に達した。蔡氏は米中摩擦について「今年は台湾投資が大爆発する」と述べ、台湾側にメリットもあると強調する。
中国で2年以上投資実績があり、貿易摩擦の影響を受けるなどの条件を満たせば優遇策が適用される。当局が工場用地を紹介し、外国人労働者を通常より多く雇用できる。金融機関から融資を受ける際は金利の一部を当局系ファンドが肩代わりし、負担を軽減する。
投資の詳細は原則非公開で、明らかになったのは一部だ。電子機器の受託製造サービス(EMS)世界2位の和碩聯合科技(ペガトロン)が優遇策を活用し、149億台湾ドルを投じて生産ラインを増設することなどが判明している。
貿易摩擦を受けて、中国から台湾に生産を移しているのは通信機器などが目立つ。財政部(財政省)によるとこうした動きが寄与し、6月の輸出額は前年同月比0.5%増と8カ月ぶりにプラスに転じた。
経済団体「工商協進会」の林伯豊理事長は、台湾には電力や水の不足など投資を阻む「5つの欠如」があると指摘。投資が具体化する際に課題が生じる可能性もある。
(台北=伊原健作)