台湾ブックレビュー・新刊紹介『台湾海峡、波高し』

■『台湾海峡、波高し−素顔の台湾軍』
■松村 劭(デュピュイ戦略研究所東アジア代表)
■平成15年12月刊
■文春ネスコ(発売:文藝春秋) ISBN 4890361952
■1,700円+税

李登輝前台湾総統は自著において「台湾は日本にとって、単なる製品の輸出先の、南に浮かぶ島の一つではない。台湾は、日本にとって生命線なのである」(『台湾の主張』)と喝破している。防大2期出身で、陸上自衛隊西部方面総監部防衛部長などを歴任した松村氏による本書は、日本ではあまり知られていない台湾軍の実情を紹介し、「生命線」の内容をつぶさに記している。それ故、「日本の安全保障戦略にとって、台湾の戦略的価値は地政学的価値だけではなく、台湾の人々の民族性や能力を考え合わせると、はるかに朝鮮半島より高い」と断言する。

3月の総統選挙を控え、陳水扁総統が提案した公民投票の件で、日本の外務省による内政干渉が識者から非難されたのは当然であるが、本書はその公民投票についても「台湾独立の国民投票が行われる気運になれば、日本政府は『中国にへつらうか、台湾を支援するか』いずれかを明確にしなければならない。もちろん、台湾独立を支援するのが戦略的戦略である」と明快に言い切る。

本書は、李登輝氏が心血をそそいで国民党軍から台湾の軍隊へという意識改革を進めた台湾軍を紹介するのが目的だが、そのモチーフとして「台湾が独立を宣言したら、日本はいかに対応するのか」という危機意識がある。軍特有の用語などはほとんど使っていないが、台湾軍創設に尽くした日本人を詳しく紹介するなど、台湾がなぜ日本の生命線であるのかがよくわかる最適の書である。(敬)

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